誰にでも起こることは、ニュースにはならない
確率に関して、もうひとつお伝えしておくことがあります。
テレビのニュース番組で事故の様子などを目にすると、「自分も被害者になるのではないか」と不安を募らせる人がいますが、そういう人は、「確率が低いことだからニュースになっている」という現実を見逃しています。
誰にでも起こるような普通のことは、ニュースにはなりません。
ニュースを見る時も、すべてが自分にも起こると考えるのではなく、その確率を考えてみる必要があります。
例えば、多くの人が高齢者の運転による交通事故が増えていると思っていますが、じつは高齢者による事故は減少傾向にあります。
日本社会の高齢化によって、交通事故に占める高齢者の割合が増えているだけで、実情はまったく逆の方向に向かっています。
高齢者の事故が珍しいから、大きなニュースになるだけで、それを見て「どうやら、増えているらしい」と錯覚しているのです。
たったひとりの高齢者が交通事故を起こすと、高齢者全員に「運転免許を返上しろ」と騒ぎ出すのは、確率の計算ができていないとしか思えません。
空振りがある代わりに、ヒットも出る
世界中で高齢者に免許を返納しろと騒いでいるのは、日本だけです。
高齢者が1万人にひとり死亡事故を起こすからといって、全員に免許を返納させたら、要介護率は現在の2.2倍に増えると予想されていますから、こちらの問題の方がむしろ心配になります。
同じことは、すでにコロナ禍でも始まっています。
高齢者が自宅から外に出なくなり、人と話をする機会が減ったことで、「歩行機能」と「認知機能」が低下して、5年後くらいには要介護者の数が200万人は増えると見られているのです。
高齢者に限っていえば、コロナで亡くなる確率より、要介護になる確率の方が高いわけですから、マスクをするなどの安全対策をしっかりして、屋外を散歩する……という選択があってもいいのではないかと考えています。
予期不安から自由になって、やりたいことをやる人は、起業ができたり、恋人ができたり、楽しいことに出会える確率が上がります。
空振りがある代わりに、ヒットも出るのです。
まずは、「案ずるより産むが易し」と思って、何でも試してみることです。