今春突然の教員人事異動で新監督が就任した

実はこの春、県内の高校野球界関係者の間に激震が走る出来事があった。

これまでタカタカを指導した境原監督が中央中等教育へ、中央中等教育の松本稔監督が桐生へ、桐生の高島監督がタカタカへ、“三角トレード”の教員の人事異動があったのだ。

高校野球ファンなら松本監督を知っている方もいるかもしれない。母校のマエタカ時代、投手として1978年センバツで甲子園唯一の完全試合を果たした。指導者となってからも87年に中央高校、2002年には母校をセンバツに導いた。

今回、タカタカから中央中等教育へ異動した境原監督はもともとタカタカOBで81年センバツに選手として同校の初出場に貢献。監督になって12年センバツでは母校を率いた。

長年、群馬県の公立校を引っ張ってきた功労者の配置転換は大きな話題になった。

タカタカに赴任した高島監督にとっても、それは思いもよらない出来事だった。

「桐生で9年間、監督をしましたので、そろそろ異動かなという予感はありました。ただ、通勤のことなど総合的にみても、タカタカに、というのは考えてもいなかった」

面白い巡り合わせで、春季大会の1回戦は、「高崎―桐生」。この時、高島監督はまだ桐生の監督で、その抽選から数日後に異動の内示が出たのだという。

タカタカの監督に就任して、試合の4月16日まで部員の顔と名前を頭に入れた。チーム事情は、それまで指導してきた桐生を熟知しながら、タカタカのベンチに座ったわけだ。

撮影=清水岳志
今年のテーマは「サイコロジカルベースボール」。相手選手の心理を読みながらのプレーが信条

タカタカの前任・境原監督は、16年間指揮を執ったいわばカリスマ(途中闘病のため入院期間あり)。3年、2年生にとっても境原野球の比重は大きい。

村松主将も「部員全員が境原先生への思いは強いものが残っていた」と認める。