もちろん中小企業にも期待しています。経営者と社員の距離が近く、メッセージもダイレクトに伝わるでしょうから、変革や業態転換も比較的早く進むのではないでしょうか。現状が大企業の下請け的存在であれば、コストダウンを要求されることも多いでしょう。しかし、これからはコストダウンではなくアイデアで勝負する時代。ぜひ、下請けから脱するためのイノベーションに挑戦してほしいと思います。

一方、大企業も中小企業から「どうむしり取るか」ではなく、「どうパートナーとして一緒に発展していくか」という方向へ考えを変えていくべきです。ドイツでは、中小企業が独創的なアイデアを生かして、大企業に押しつぶされることなく元気にやっています。日本も見習っていかなければなりません。

普通の経営者で終わるか名経営者になるか

──経営者が自社の底力を引き出すには、どうすればいいのでしょうか。

日本の大企業には、新卒で入社した人間が経営者となるケースがほとんどです。その場合、自社のカルチャーやシステムに誇りを持っているはずで、そこに踏み込んで変革を行うのは自己否定にも等しい行為です。

日本企業のCEOのうち8割が他企業での経験がない(出所=「未来人材ビジョン」P45)

そうした自己否定をできるかどうかが、名経営者になれるかどうかの分かれ目ではないでしょうか。われわれはその手伝いが出来ればと考えています。この「未来人材ビジョン」はその一歩です。

すでに投資家たちは「人材投資を重視する企業に投資したい」と言っています。こうした外部の声に耳を傾けて、ぜひ人材投資に舵を切ってもらいたいと思います。

(構成=辻村洋子)
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