参議院は「国の長期プランを練る」場所、だから「こんな人」がいい

では、どんな候補者が信頼に足るのでしょうか。

衆議院は政権選択選挙です。その時々の最大の課題に、議論の時間を多く割きます。結論が出なければ、総理は解散権を行使します。国論が二分されるような大事が生じれば国民の意思を確かめ、また政権に対する信を問うために総選挙があるわけです。

参議院には解散がなく、任期満了による改選が6年に1回です。したがって日本のあるべき姿、国家の方向性をつけるような腰を据えた議論は、参議院に向いています。国の長期的なプランを考えることこそ、参議院の役割です。

ともすれば、参議院は衆議院の下請けにすぎないと揶揄やゆされ、不要だという極論さえ出てきます。それを避けるためにも、国家の中長期的な方向づけは参議院で練り、それを衆議院に送って、国民に選択を委ねる議論を託す。そうした役割を明確にすべきなのです。

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国のさまざまな分野に関する時間をかけた議論に向く参議院の議員は、一芸に秀でた人です。たとえば、地方議員を20年以上やったり知事や市町村長を3期以上務めたりして、地方の過疎化の実情や活性化策に精通している人。学校の教壇に30年以上立って、日本の教育が抱える問題や最近の子どもたちの姿を知悉している人。長く医者をやってきて、老人医療や介護現場の現状を身をもって経験した人。

ひとつの道に精通し、豊富な経験があり、その分野に関する確かな知見をもっている人が、参議院の議員にふさわしいと考えます。つまり、参院選の候補者を見るひとつの基準は、その人の軸は何か。「あなたがライフワークにしていることは何ですか」、これを見ればいいと思うのです。

これは新人候補に限りません。現職や元職なら、議員時代はどんな委員会に所属し、どんな質問や提案を行ってきたか、ネット上の国会の議事録などで、簡単に調べられます。選挙前に口にする公約だけに捉われず、ぜひ目を通しておくべきです。