54歳にしてショップオーナーに
毎月の売り上げ目標を設定し、お互いに切磋琢磨して達成を目指す。桧山さんはトップクラスの成績を守り、月商500万円を達成したこともあった。支店では功績を高く評価され、50代にして自分のお店をもつ「ショップオーナー」に推薦され、1983年8月、桧山さんは54歳でショップオーナーになった。支店長は「少年よ、大志を抱け」という期待を込めて、新しいショップに「大志」と名づけてくれた。
「毎日休まずコツコツと真面目にやっていれば、お客さまはついてきてくださるから」
オーナーになっても変わらず、黙々と日々努力を重ねる桧山さん。
ショップでは、かつて顧客だった人がビューティーディレクターになるケースも多かったという。長年、桧山さんと同じ支店でともに働いてきた土谷弘子さん(84)はこう語る。
「桧山さんの姿を見て、こういうふうになりたいと憧れるのでしょう。お客さまの立場になって、いかにきれいにして差し上げるかということに心を尽くされる方。お手入れをしたり、いろいろ美容のアドバイスをしたり、気持ちが伝わるから、お客さまからとても慕われているんですね」
人生相談に乗ることも
当時は、新規開拓に絞って一時的に成績を上げる販売員もいたが、最終的に長く成績を維持できるのは顧客を大事にする後者のほうだった。桧山さんは目の前にいる顧客を大切に思い、きめ細かいフォローをしてきたからこそ長いお付き合いが続いている。そして、信頼のおける仲間と時には議論を重ねながらも、支えあえる環境があったからこそ長く仕事を続けられたという。
「桧山さんはお客さまのフォローがすごく細やかで、コツコツと通うことを大事にしています。だから、お客さまの方から『会いたい』と電話がかかってきますし、いろんな人生相談にもよく乗っていましたね」と土谷さん。