母乳育児にこだわりすぎて母子の健康を損なうのは本末転倒
でも、実際には母乳育児をしたくない、またはできない母子もいます。目の前に育児用ミルクがなくて困っているお母さんと子供がいるとき、その正論は役に立つでしょうか? 粉ミルクだろうと液体ミルクだろうと飲ませるのが一番正しいはずです。そして災害時だけでなく、日常生活で液体ミルクのような便利なものを使うことが非難されるべきではありません。健康な人でも階段ではなくエスカレーターやエレベーターに乗るのと同じく、個人の選択ですから、他人がとやかく口を出すべきではないでしょう。
他にもSNSでは「母乳育児の主役はお母様」という言葉を見たことがあります。しかし「育児」というからには主役は子供であり、母乳は子供が成長するための「一手段」であるだけだと私は考えます。目的は「子供が健やかに育つこと」であって、「母乳だけを飲ませること」ではありません。母乳育児にこだわりすぎて育児用ミルクを忌避し、母子の健康や家族関係を損なっては本末転倒です。ぜひ手段と目的を混同することなく、心身ともにストレスをためないで育児をしてほしいと思います。