炭水化物の消化を邪魔する食品を一緒に摂る
たとえば、1枚の食パンを食べるとしましょう。このパンだけを食べるのと、バターをたっぷり塗ってツナや卵を挟んで食べるのでは、カロリーは後者のほうが高くなります。ところが、後者のほうが太らないのです。
ただの食パンよりは、バターたっぷり具もたっぷりのほうが美味しくてお腹がいっぱいになります。それなのに太らないのはどうしてでしょう。
食パンだけなら消化も簡単で、分解されたブドウ糖はすぐに血中に吸収されます。そして血糖値が急激に上がります。しかし、バターの脂質や具のタンパク質が一緒だと、炭水化物の消化に時間がかかり、なかなか血糖値が上がらないのです。
つまり、同じ炭水化物を食べるなら、その消化を邪魔するものを一緒に摂ったほうがいいわけです。
ベジファーストからミートファーストへ
一緒に食べるものとして、これまでは野菜が最も推奨されました。野菜の食物繊維が炭水化物の消化を邪魔するので、たしかに野菜を一緒に食べるのはいいことです。
ところが、2017年に、野菜よりも肉や魚などのタンパク質がさらに適しているという報告がなされました。タンパク質も食物繊維と同様に炭水化物の消化の邪魔をするのに加えて、タンパク質には「インクレチン」という血糖値の上昇を抑制するホルモンが含まれているからです。
これによって、それまでの「ベジタブルファースト」から「ミートファースト」へと、認識が変わってきました。
「ミート」にも優先順位とNGとがある
ただし、ミートファーストの中にも優先順位があります。脂肪たっぷりの肉でも太ることはありませんが、その種類によって健康への影響が違うことが最新の研究でわかっています。中でも気になるのが、今、日本人に激増している大腸がんとの関わりです。
まず、ハムやソーセージなどの加工肉や牛肉をたくさん食べると、とくに女性で大腸がんの危険性が増すことが指摘されています。
そもそも、たいていの加工肉には、発がん性が明らかになっている亜硝酸塩という添加物が使われています。牛肉は加工肉よりずっとましですが、リスクは上がります。また、アメリカ産の牛肉は、飼育ホルモンや抗生剤を与えられていた可能性があり、完全に安全とは言い切れません。
こうしたことから、加工肉は一切やめ、牛肉はたまにごちそうとして食べるくらいがいいでしょう。