高所得と低所得を分けるもの

まず根本的な疑問として、高所得と低所得を分けるものは何でしょうか。

むろん、健康上の理由や介護などといった理由で満足に働くことができないというケースはあるでしょう。

離職や事業の失敗などで一時的に貧困に陥ることは誰にでもあり得ることです。

しかし、そうした特段の事情がないにもかかわらず、ずっと所得が上がらないとしたら、それはなぜか。

私は高所得者と低所得者を分ける1つの要素として「戦略的思考」があると考えています。

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戦略的思考とは、目的達成のための合理的な道筋を描くことです。仕事に関して言えば、たとえば自分のキャリアを抽象化して(俯瞰して)、いまやっている業務が将来どのようなキャリアにつながるか、将来はどういうキャリアパスを望むのか、そのためにはどういう経験やスキルセットが必要か、同時にどういう姿勢・意識で仕事をするかなどを考えることです。

あるいは日々の経験から教訓や教えや法則を抽出し、それを他の場面で応用しようと試行錯誤します。

そしてどうすれば自分の仕事に付加価値が出せるのか、仕事以外の時間でも思考を続けます。

高所得者層の多くは、このような内省や振り返りを行い、自分・自社・自社製品の市場価値や立ち位置を、折に触れて客観視しようとする習慣があります。

自分の力がどこまで通用するか試したい、というチャレンジングなマインドも持っています。

目の前のことにこだわりすぎると収入は上がらない

一方、こうした抽象的な思考が苦手で、そんなことよりも、たとえば時給はいくらか、仕事はキツくないか、待遇はどうなっているか、自宅から通いやすいか、などといった極めて具体的な観点でしか仕事を選べないでいると、収入は上がっていきません。

より高収入な職を得るための戦略(=合理的な道筋、対策)を考えることをしていないのです。

人材エージェントをやっている知人に聞いた話ですが、低所得な人に限って詳細な職務経歴書を書くことができず、「面接が5回ある」というだけで腰が引けてしまうそうです。

これも自分のスキルや経験を俯瞰・客観視できていない、面倒なことを避けたいというマインドなのでしょう。