遺族が最も悔やむのは「時間共有への努力」

最後のときを迎えた人に自分の人生についての後悔がある一方で、家族をはじめとする残された人たちにも後悔が生じる。最後のときを迎えた人との別れは一度きり、後悔しても取り戻すことは難しい。それでは最後のときを迎えた人に対して、「やっておけばよかった」「やらなければよかった」と後悔しないためには、何をしておけばよいのだろうか。

ここで、ホスピスで家族を看取った遺族に対する調査(遺族89名が回答)を紹介する。患者の闘病期間中に遺族が行わなかったことに関する後悔の内容、および人数の内訳は、「もっと一緒に過ごせばよかった」などの「時間共有への努力」が13名と最も多く、「患者の好きなことをしてあげればよかった」などの「やり残し」9名、「もっと大切にしてあげればよかった」などの「患者への態度」8名、「なかなか世話ができなかった」などの「生活の中での優先順位」6名、「最後の話がしたかった」「話せばよかった」などの「患者との会話」4名、「精神的に支えてあげられなかった」などの「気持ちの理解」4名、「看取りに立ち会えなかった」などの「看取り」4名だった。

治療過程で行わなかったことに関する後悔は、「医学的知識(昏睡こんすい状態=死という認識がなかった、ホスピスのことを知らなかった)」8名、「治療の選択(新薬を使うようにお願いすればよかった、本人と一緒に治療等について考えればよかった)」7名、「ホスピスへの入院過程(もっと早くホスピスに入院させればよかった)」5名、「病名を告知しておけばよかった」などの「病名告知」3名だった。

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「行わなかった後悔」をしている遺族のほうが多い

患者の闘病中に行ったことに関する後悔の内容は、「患者の前で泣いてしまった」「事務的に過ごした」などの「患者への態度」7名、「他の家族と交代した」「故人を置いて帰った」などの「生活の中での優先順位」3名だった。

治療過程で行ったことに関する後悔の内容は、「全治療を放棄した」「家族で決めた治療が患者の体力を奪った」などの「治療の選択」3名、「入退院を繰り返させた」などの「ホスピスへの入院過程」2名だった。

まとめると、闘病中の家族に関して「行わなかった後悔」をしている人のほうが、「行った後悔」をしている人より数が多い。言い換えるならば、「行わなかった後悔」のほうが、心にずっと残っているということである。つまり家族としてできることは、できるだけやっておいたほうがよいということである。