dポイントより楽天ポイントをためている人のほうが多い

ポイントサービスでも楽天の独走です。通信4社のユーザーが最も多く使うポイントサービスを調べたアンケート調査では、楽天ポイントが42%と1位。2位がTポイントの15%、3位がdポイントの10%となっています(MMD研究所「2021年 通信会社と利用ポイントに関する調査」)。通信4社のユーザーはドコモが一番多いのに、dポイントをためている人よりも、楽天ポイントをためている人のほうが多いということです。

「楽天証券」ではこのポイントで投資ができます。つまり、ためたポイントで投資信託や米株が買えてしまう。投資を始めるときの一番の問題は、損をしたくないという気持ちでしょう。それがハードルを上げている。でもポイントならば、損をしてもそれほど痛くない。おかげで楽天証券は並みいるライバルをさしおいて、2018年から4年連続、ネット証券で新規口座開設数ナンバーワンでした。

そうやって考えると、「楽天モバイル」で通信事業に参入したこともうなずけます。「楽天モバイル」ができた当時は、なぜ通信などという激戦区に進出するのかと不思議に思いましたが、楽天全体でみれば、何が何でも参入しなければならない理由がありました。つまり、いま楽天はカード決済では完全な経済圏をつくれているけれど、「○○ペイ」などのリアル店舗でのキャッシュレス決済はスマホがないとできません。近い将来、いろいろな決済手段がスマホによるキャッシュレス決済に移っていったとき、この分野が抜け落ちていると致命傷だからです。

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楽天は、さまざまなサービスで経済圏を構成しているからこそ、より経済圏を強化し、新しい付加価値を生むために、インフラとしてのモバイル事業へ、多少無理をしてでも参入する必要があったのです。

ドコモも生活サービス事業に進出している

それに対してほかの通信キャリアはどうでしょうか。最大手のドコモで説明しましょう。ドコモも楽天と同じように経済圏の構築を目指して、「スマートライフ事業」と銘打った生活サービス事業に進出しています。「dマーケット」と総称して、いろいろなデジタルサービスを網羅しようとしたのです。

たとえば、ドコモでスマホを買うと、「dミュージック」「dトラベル」「dデリバリー」「dブック」「dカーシェア」など、頭に「d」とついたアプリがあらかじめインストールされています。生活にかかわるあらゆるサービスがそろっている、網羅されているのは確かなのですが、一つひとつのサービスの魅力については精彩さを欠くと言わざるをえません。

みんなそれぞれ「ショッピングはアマゾンか楽天」「デリバリーはウーバーイーツ」など、使い慣れたサービスがあるでしょう。だからスマホに全部インストールされていたところで既存のサービスを超えるユニークなメリットがあるものでなければ使いません。消費者から見ると、一通りそろってはいるものの、一つひとつのサービスにインパクトと本気度が感じられないのです。