預けている間に引かれる手数料に注意
もうひとつ、「iDeCo」は投資商品で、運用次第では目減りの可能性があります。もちろん、「iDeCo」でも、預貯金を選ぶことはできます。
ただ、銀行の預金は、預けていても手数料を取られませんが、「iDeCo」の場合には、預けている間にさまざまな手数料を引かれます。さらに、前述したように60歳にならなくては引き出すことができません。
手数料について見ると、「iDeCo」に新たに加入したり、企業を退職して「iDeCo」に企業年金を引っ越しする時に、国民年金基金連合会に2829円(税込)を払います。
さらに、運用期間中は、最低でも年間2052円、多い金融機関だと年間7000円近い手数料を支払います。
加えて、給付を受ける時も、給付1回につき440円かかります。
これだけの手数料を払って儲けを出すためには、預貯金では無理。投資商品での積み立てをしないと意味がないということになります。
ただ、投資商品は、あくまで運用次第ということになりますから、仮にバブル崩壊やリーマン・ショックのような経済的に大きな出来事があると、「iDeCo」に預けている投資商品が大きく目減りする可能性があります。そのことは、覚悟しておいたほうがいいでしょう。
「将来の資産形成」ではなく、投資の自覚を持つ
「iDeCo」は、毎月決まった額を積み立てていくので、ついつい確実に増えていく積立預金と勘違いしてしまいがちです。
ここまで、「iDeCo」のメリットとデメリットを説明してきましたが、「iDeCo」では、投資商品の積み立てをしていかなくては意味がなく、投資商品にはリスクがあるということはご理解いただけたでしょう。
リスクがあるということは、老後までに資産が増えるどころか、目減りしてしまうことだってあるということです。
ところが、国が「将来の資産形成に役立つ」と宣伝しているので、投資をしているという自覚がない人が多く、投資しても将来目減りすることはないだろうと思っている方も多いようです。
節税効果が必要ない専業主婦には不向き
「iDeCo」には、やっていい人、やってはいけない人がいます。
やっていいのは、もっとも大きく恩恵を受けそうな公務員。
公務員なら、民間会社と違って60歳までクビになることもなく勤め続けられる人も多いことでしょう。ですから、60歳まで引き出せないという「iDeCo」のデメリットは払拭されます。
しかも、「iDeCo」の節税効果は、年収が高い人ほど大きくなります。
国税庁によれば、民間の平均給与は2020年で433万円、公務員の給料は、国家公務員か地方公務員かなどで違いますが、650万円から700万円。サラリーマンに比べて給料が高い人が多くいます。
ですから、公務員の場合には、給料が高いぶん「iDeCo」の節税効果も高いということです。
いっぽう、やっても意味がないと思われるのが、専業主婦。
なぜなら、専業主婦は、そもそも税金を納めていない人が多く、節税しようにも戻ってくる税金がないので、「iDeCo」の節税効果が使えないからです。
では、自営業者はどうでしょうか。