投資対象商品、損益通算…NISAを利用するメリットとデメリット

「NISA口座」には、値上がり益に対して税金がかからないなどメリットがあるいっぽう、デメリットもあります。

●「NISA口座」のメリット

①利益が非課税になる

通常の証券口座だと、値上がり益に対して20%を税金として国に納めなくてはなりません。けれど、「NISA口座」は課税されないので、値上がりした金額がそのまま手取りとなります。この「非課税制度」は2024年以降に始まる「新NISA」にも適用されます。

②投資対象商品が多い

「NISA」で投資できる商品は、国内株式、海外株式、投資信託、国内ETF(ETFとは上場投資信託)、海外ETFと、かなり幅広い商品に投資できます。

③「NISA口座」の手数料を無料にしている金融機関が多い

「NISA口座」では、口座に手数料がかかる金融機関もありますが、手数料を無料としている金融機関も多くあります。

●「NISA口座」のデメリット

①投資限度額が、年間120万円と少ない

「NISA口座」で買える金融商品は、年間120万円までです。

たとえば、1年間で80万円まで買ったら、次の年は余っている40万円と次の年の120万円で合計160万円の投資商品が買えるかといえば、そうではありません。年間120万円で、次の年も120万円までしか買えません。

②「NISA口座」の非課税期間は5年間

「NISA口座」には、投資商品を最大で5年間しか預けられないというルールがあります。2022年の1月1日に投資商品を買っても、12月31日に買っても、その年なら1年とカウントされます。

5年経つと、投資商品は他の口座に移さなくてはなりません。

③損益通算や繰越控除が使えない

一般的な証券口座では、「損益通算」や「繰越控除」が使えますが、「NISA口座」ではこうしたものが使えません。

「損益通算」とは、いくつかの口座の利益や損をトータルできるというもの。

たとえば、証券口座Aで10万円儲かり、証券口座Bで8万円の損をしても、2つの口座をトータルすると2万円の儲けということなので、税金は2万円の20%の4000円を払えばいいというのが「損益通算」です。

ところが、一般のA口座で10万円儲かり、「NISA口座」で8万円損をしても、「NISA口座」と「一般口座」はトータルにならないので、儲けた10万円のうち20%にあたる2万円を税金として支払わなくてはなりません。

「繰越控除」とは、その年の損失を翌年の利益から差し引くというもので、最長3年間、損した額を繰り越すことができますが、「NISA口座」では使えません。

たとえば、株で10万円損した年があったとします。次の年に別の株を売って2万円儲け、その次の年に4万円儲け、さらにその次の年に4万円儲かったとしても、3年間は最初の10万円の損から儲けを差し引けるので、税金はかからない。

ところが「NISA口座」は、5年間しか置けないので、大損して「NISA口座」から出し、その後に儲かったとしても、「繰越控除」は使えません。