国際女性デーをシャンパンで祝う

人びとがいかに勇敢であるか、あるいは勇敢でいなければならないか──。

それも目の当たりにしました。たとえば、私はある家族が家の前の路上で料理をしていた光景を思い出します。彼らが囲む焚き火のすぐそばには、数日前に別の家族が受けた砲弾の大きな穴が二つ開いていたのです。

撮影=Maciej Moskwa
焚火をして暖を取るウクライナからの避難民。ポーランド・フレベンネにて

また、人びとが逆境にあっても、暮らしの中のささやかな楽しみを大切にする姿にも心を打たれました。

私たちは3月8日の国際女性デーは、とにかくお祝いをすることに決めたのです。近所の人たちに電話をかけ、友だちを招待しました。シャンパンを1本見つけた人もいれば、レシピの半分の材料でケーキを焼いた人もいました。数分間音楽をかけ、30分という束の間、私たちはお祝いムードに浸って楽しみ、笑い合うひと時を過ごしたのです。この悪夢は終わるさ、とジョークまで飛ばしあったものです。

でも、悪夢は止まるところを知りませんでした。

輸送部隊と共にマリウポリを脱出

私たちは毎日、町を出ようと試みていました。でも、何が起きているのかもわからず、脱出は不可能だという見方も広がり始めていたのです。

ある日、輸送部隊が出発するという情報が入ったので、古い車に乗り込み、急いで輸送部隊の出発地点を探しました。できる限り多くの人に伝えましたが、伝えきれなかった人のことを考えると、悲しい気持ちでいっぱいになります。何しろあっという間の出来事で、電話回線が復旧していなかったこともあり、誰にも電話をかけることはできませんでした。

出発は、大混乱とパニックそのもので、多くの車があらゆる方角へ向かっていました。数え切れないほど多くの人が乗っているため、顔が窓ガラスに押し付けられている車も見ました。地図もない中で不安でしたが、どうにか正しい方向を選び、私たちはマリウポリを脱出することができたのです。

撮影=Maciej Moskwa
ウクライナに国境を接するポーランド・フレベンネにて。ウクライナから避難してきた人びと