3:管理会社審査
管理会社審査は人柄審査の割合が高い
賃貸管理会社は不動産仲介会社と混同されがちだが、異なる業種だ。
仲介会社は、買い主↔売り主、借り主↔貸し主などから依頼を受け、契約や取引に関することを取り扱うことが仕事。一方、賃貸管理会社は、大家から賃貸物件を預かって管理するのが仕事。大家に代わって入居者募集、家賃集金、クレーム対応、修繕手配、退去後のリフォームなどを請け負っている。不動産屋が管理会社を兼ねているケースもある。
「(賃貸管理会社は)以前は保証会社と同じように、クレジットカードの事故歴の有無などを重点的に見ていたのですが、最近はとくに管理会社の主観が大きくなっているように感じます。大家さんに情報が行く以前に、管理会社の段階で審査落ちするケースもあります」
管理会社がチェックしているのは、借り主の支払い能力や勤続年数は当然のこと、年齢や人柄のウエートも大きい。そして、次のようなケースは減点材料となるという。
・契約前から過度の交渉をされる(過剰な賃下げ交渉などを含む)
・書類を提出するのが遅い
・書類に不備がある
「人気物件はほっといても入居希望が絶えないものです。それゆえ、同時期に『借りたい』と名乗りをあげるライバルは意外と多いのです。であれば、問題なしの人と問題ありの人を比べた場合はどうしても前者が有利になります。要は毎月、確実に家賃を払えることが証明できることと、トラブルを起こさなそうな人だとジャッジされればよいだけなのですが、世の中にはさまざまな人がおられますから……」
先ほど管理会社の心証を悪くする減点材料を紹介したが、次に示すのは管理会社判断で実際に審査落ちとなった事例だ。
・(コロナ禍で)借り主が飲食店勤務だった
・借り主の名前で検索したら犯罪歴が出てきた
・ペット禁止にもかかわらず、「ペットを解禁」を要求してきた
・運転免許証に紛失回数があった
・2年分、まとめて家賃を払いたいと言ってきた(かえって不審に思われた)
・保証人が年金受給する高齢者(資産はあった)だった
・同棲カップルだった(関係破綻で家賃不払いの可能性もあると判断)
すべての管理会社がこれらの案件をNGとするわけではないが、「面倒くさそうな人」を極力排除しようとする会社は少なくない。
「管理会社の担当者の主観、ムシの居所次第ということもしばしばですね。ただ、管理会社がうるさくなるのは、借り主とずっと付き合わないといけないからです。職務上、入居者への対応義務がありますから、借り主の審査には慎重にならざるをえないんです」
このように、賃貸物件を借りる場合、大家・不動産屋・保証会社・管理会社が設定した「お作法」が存在し、それをクリアしないといけないということだろう。お作法の内容はそれぞれであり、借り主側からすれば、あたり・はずれがあるということになる。