首都圏のマンション価格が空前の水準となっている。不動産経済研究所によると、2021年の首都圏新築マンションの平均価格はバブル期を超えた。いまは持ち家を諦めたほうがいいのか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「単身者でもいますぐマンションを買ったほうがいい」という――。
東京
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「家を買うこと」にまつわる5つの誤解

家を買うことは多くの誤解に包まれている。その誤解を解かないことには、いつまでたっても買うことはできないと思う。だからこそ、代表的な誤解を解いておこう。

(1)今のマンション価格は高い

確かに今のマンション価格は以前よりも高い。しかし、マンション価格は2025年まで上がることは既にほぼ決まっている。アベノミクス以降行われている金融緩和は黒田日銀総裁の任期である2023年まで続きそうな情勢である。行き場のない資金は不動産に流れており、2023年に仕入れた土地はその2年後に分譲されることが多い。今から4年は新築マンション価格が高くなり、中古も連れ高になる。購入を遅らせてもいいことは何もないと心得よう。

(2)結婚してから家を買うものだ

もっと言うと、子供が産まれてからという考えもあろう。しかし、この固定観念にとらわれるのは愚かだ。まず、非婚化が進み、都区部では男性は33%、女性は28%が生涯未婚になると筆者は予想している。約3割が生涯結婚しないというのに結婚を契機に考えるのは不確定過ぎる。次に、晩婚化も進んでいるが、実質定年である65歳までに35年の住宅ローンを返済するには30歳で購入していなければならない。この際、「結婚したら家を買う」という考えは捨てよう。

10万円の家賃を2年払えば、240万円の現金を「失う」

(3)家賃のほうがリーズナブルである

家賃はもったいない。10万円の家賃を2年間支払ったら、240万円の現金を確実に失う。もし10万円の家賃に相当するマンションを買うなら、2500万円程の価格になる。これを買うために全額住宅ローンを借りると、月の返済額は7.1万円で済む。これだけ見ても買ったほうがいい。他の簡易的な比較方法としては、住宅ローンは35年で返済が終わるが、賃貸は少なくとも50年以上支払うことになる。これだけでも、賃貸のほうが1.5倍の住居費がかかる。

(4)分譲と賃貸の仕様は大して変わらない

あなたが賃貸住宅のオーナーなら、どんな品質の建物を建てるだろうか? 高品質でコスト高か、コスト安なのかという選択だ。例えば、壁の遮音性を高めるにはコストがかさむので、ほとんどのオーナーは安普請な造りにする。もっとわかりやすく言うと、自分の持ち家より立派にするオーナーはいない。他人が住んで家賃をもらうものは、コストミニマムで造るものだ。だからこそ、その逆の「分譲仕様」という言葉があるのだ。