目的達成の邪魔になる誘惑との戦い方

また、ダイエットをしたいと思っているのに、甘いものの誘惑やお酒の誘惑に負けて、ついつい口にしてしまった。あなたにはそんな経験がどれくらいあるでしょうか?

やる気はあった。目的意識はあった。でも、目先の誘惑に負けてしまった……。こんな経験は、過去を振り返れば誰しも心当たりがあるものです。

子どもたちも同じです。憧れの中学校があり、合格するために成績を上げたいと思っている。そのために勉強しようと思っている。

それでも、目先のゲームやテレビに負けてしまうことがあります。「ちょっと休憩」のつもりで始めたものが、ついつい「あとちょっと」の繰り返し。本当に「あるある」です。

こうしたときに、子どもたちを叱って責めても、改善することはめったにありません。何しろ、子どもたち自身もやる気はあるのですから。

むしろ、子どももそんな自分を「どうにかしたい」と思って悩んでいたりします。彼らに必要なのは、叱られて悲しい思いや悔しい思いをすることではありません。

誘惑に負けない手段です。

そこで、この節では、誘惑に負けない人は、どうやって誘惑に勝っているのかをお伝えしようと思います。

お菓子の置き場所で食べる量は3倍変わる

誘惑に負けない最も効果的な戦略は、「戦わずして勝つ」ことです。

誘惑と対峙して、意志力を発揮して勝つのは困難です。それよりも、そもそも誘惑が少ない環境に身を置いたほうが、目標を達成できる可能性はグンと高まります。

例えば、職場でお菓子を机の上に置いておくか、引き出しの中にしまっておくかで、食べてしまう量は3倍くらい変わるそうです。面倒でも「引き出しにしまう」ことが、誘惑に「戦わずして勝つ」ために効果的なのです。

誘惑が少なくなるように環境を整えることが大切だとよくわかりますね。

冒頭で「目標達成のために増やしたい行動があったら、その行動をしやすいようにハードルを下げよう」という話をしました。逆に、減らしたい行動に対してハードルを上げましょう。

ダイエットのために、お菓子を食べる量を減らしたい?

であれば、お菓子を目につかないところにしまって、食べるときは、わざわざ出さなければいけないようにしましょう。歯を磨いてしまって、お菓子を食べたらまた歯を磨き直さなければいけない状況にするのもよいでしょう。面倒くさくて食べる気が失せます。

勉強時間を増やすために、テレビを見る時間を減らしたい?

テレビ用のカバーを用意して、見終わったら毎回カバーをかけるようにしましょう。主電源も切り、コンセントも抜いておくとよいですね。

イラストレーション=伊藤ハムスター

リモコンのスイッチ一つで簡単につけられる環境と、わざわざカバーを外し、コンセントを入れて主電源を入れなければいけない環境では、テレビを見る時間は大きく変わるでしょう。

ゲームやユーチューブも同じです。使わないときには目につかないところに片付けて、やりたい気持ちを刺激しないようにしましょう。そして、やりたいと思っても、わざわざ準備しないといけない面倒な状況にするのです。

また、友達からの誘いに関しても、誘われたら断りにくいでしょうから、先に「○曜日以外は勉強があるから遊べない」などと伝えておくとよいでしょう。