「顧客と友人になる」中国家電ベンチャーの相談窓口
アフターマーケティングの1つである相談窓口は、あまり重視されず、ただ対応の数をこなせば良いように考えられることがある。相談対応業務のKPI(評価指標)として、対応した件数、問い合わせ電話・メールへの応答率、30秒以内に電話を受けた割合などが採用されやすい。これでは、肝心の「顧客との関係作り」や満足度は測りにくいこともあり、なかなか重視されにくい。しかし、アフターマーケティングの価値は、顧客の不満を取り除き、中長期的な関係を良好に築いていくことにこそある。
中国の家電ベンチャー企業・シャオミは、直営のカスタマーサービスセンター「シャオミの家」の相談対応において、従来のKPIをあえて採用せず、「顧客と友人になる」という一点のみを重視している。「相談窓口は、レストランにおける接客と同じ役割である」と考え、友人相手のようにリラックスした雰囲気で相談に乗る方針を徹底している。
シャオミはもともと、「顧客と友人になる」を企業理念として掲げることで、成長を続けてきた。顧客と友人関係を結ぶことで、友人と共に優れたプロダクトを生み出し、その評判を友人たちにクチコミで広めてもらう、という好循環を実現させている。そのように開発・販売・プロモーションを展開することで、「手が届く」「自分だけのものになる」「共に成長していく」ブランドとして受け入れられてきた。
カスタマーサービス担当者の給与は業界平均より2~3割高い
そのシャオミの特徴の1つが、すべての社員に対して、カスタマーサービス担当者として顧客と友人関係を結び、顧客と一緒に楽しむ価値観を持つように求めていることだ。「顧客の相手は、カスタマーサービスに任せておけば良い」などと考えがちな新入・転職してきた社員とは、時間をかけて話し合い、そうした誤った考えを解消させる。
また、広告よりもカスタマーサービスにコストをかけた方が有意義であると考え、「シャオミの家」では、担当者に業界平均よりも2~3割高い給与を支払うようにしている。当初は、人手が足らずに社員40%・外注60%でサービスを運営していたが、社員75%・外注25%へ社員比率を引き上げ、早期に社員100%を実現させる方針を取っている。