限られた資源の“囲い込み”が始まる

ロシアは効率的なサプライチェーン運営と国境をまたいだヒト・モノ・カネの再配分によって強化されてきたグローバル経済から切り離される。言い換えれば、自由資本主義圏とロシアは分断され、世界経済がブロック化する。その状況は、1930年代の世界情勢に似ている部分がある。

経済のブロック化は限られた資源を特定の国のグループで囲い込もうとする閉鎖的な経済運営の発想だった。それは、1990年代以降、新興国の成長やかつて社会主義体制をとった国の自由資本主義体制への転換などによって加速したグローバル化と対照的だ。グローバル化によって世界経済が享受していた要素価格の均等化というプラスの効果は弱まる。EVシフトなど世界経済の先端分野での成長力は低下するだろう。それによって各国の経済、企業の事業運営の効率性は低下し、GDP成長率は鈍化するだろう。

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「景気減速と物価上昇」のWパンチがやってくる

ウクライナ侵攻によって、わが国経済はかなり厳しい状況に直面するだろう。まず、景気は減速する。内需と外需の両方でわが国への逆風は強まる。わが国では少子化、高齢化、人口減少などによって内需が縮小均衡している。自動車産業に代わる成長期待の高い新しい産業の育成も遅れている。世界経済がブロック化に向かうことによって、主要先進国はエネルギー資源などのモノを融通しなければならなくなるだろう。

それによってわが国が輸入するモノの価格は上昇し、内需への下押し圧力は強まるだろう。外需に関して、地政学リスクの高まりやロシア制裁の影響から、世界経済の先行き不透明感は高まる。それによって、各国の設備投資は減少し、雇用・所得環境は不安定化するだろう。わが国が自動車などの外需を取り込んで景気の回復を目指すことは、これまで以上に難しくなる。