国際大会もビジネスも「日本切り」が増えていく

このままでは、スポーツの国際大会のように、準備作業からの道のりを考えると相当な予算と人力が掛かるイベントの実施について、「日本は『ネオ鎖国』を平気でやるような国だから投資するのが危険だ」とプロモーターたちが二の足を踏む可能性も出てくる。「日本開催に向けて投資しても、いつ、どんな理由でひっくり返されるか分からない」と判断されてしまったら、それこそ国益を損なう事態となる。多国籍企業で「日本切り」が現実に行われているとするなら、そうした事態への対策も考えるべきだ。

昨年12月、政府が「日本人帰国者を含む、外国からの入国者の受け入れ中止」を打ち出した際には、とても多くの国民から喝采を浴びた。岸田政権はこうした世論を意識してか、外国人に対する入国要件の緩和に手をつけたくないというのが本音だろう。

ただ、2月に入って、政府が重い腰を上げる姿勢をみせている。山際大志郎新型コロナ対策相は4日、「柔軟に対応していく」と述べ、3月以降の緩和へ前向きに検討していくとの考えを示した。早ければ2月中旬までに、外国人の入国に向けた緩和措置について方針が示される可能性が高まっている。

コロナ対策は今や思考停止に陥っている

オミクロン株が世界に広まった当初、日本の水際対策は一定の成果を上げていた。しかし、世界の主要国におけるコロナ政策は「緩和の方向」にあり、明らかに経済復興へと舵を切っている。今すぐに「開国せよ」とは言わないが、外国人入国を含む出口戦略に道筋をつけるタイミングにあるのではないだろうか。

訪日が不可能となっている海外のビジネスマンらをはじめ、研究者や留学生、技能実習生の人々が持つ日本という国への不信感は膨らみ続けるだろう。仮に受け入れが困難であるなら、しかるべき合理的な理由を説明するべきであって、間違っても「外国人排斥」と思われるような施策はとってはならない。

今や、思考停止に陥っている水際対策への合理性ある見直しを期待したい。

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