飲物のストックをスマホで管理、自動再注文が可能に
実は、先の「R-K11R(セカンド冷凍庫)」とほぼ同型の「R-KC11R(スマートストッカー)」には、庫内に2段、棚の重さを検知するセンサーが付いています。
これにより、常にストックしたいペットボトルや缶ビールなどの残量が分かり、その情報をスマートフォンで確認できる。さらにAmazonの自動再注文サービス(Amazonスマートリオーダー)と連動すれば、残りわずかとなった分を自動で再注文することも可能です。
これらの便利なデジタル家電は、開発や改良に際し、顧客の利用データや「もっとこうして欲しい」といったナマの声が欠かせません。自社単独でなく他社と、あるいは顧客と共に切磋していくほうが、よりよい価値創造に繋がりやすいのです。
そのことを従業員が深く理解する必要があります。
日立GLSでは、あらゆる角度から顧客の幸せ(ハピネス)に貢献しよう、そしてさらなる「協創(共創)」に向けて社内の思いを一つにしようと、従業員主導で「360°ハピネス~ひとりひとりに、笑顔のある暮らしを」とのフレーズを創出しました。
そして21年4月、これを企業の「パーパス(社会における企業の存在意義)」として一般に公開。先の米山さんは、このパーパスを「たとえ方向性に迷っても、揺るがない『北極星』のような存在」だといいます。
パーパス経営は新商品開発のうえでも重要になってくる
パーパスを重視する「パーパス経営」では、ネスレ(「Good food, Good life」)やファーストリテイリング(「LifeWear(生活に寄り添う服)」、オイシックス・ラ・大地(「これからの食卓、これからの畑」)などが、よく知られています。
16年、米国のLinkedIn(ビジネス特化型SNSの運営企業)がビジネスパーソンに行なった調査では、約3000人の調査対象のうち半数(49%)が「人々の生活や社会に対し、ポジティブなパーパスを掲げる企業で働くなら、“給与”が下がってもいい」と回答。
日本でも若い世代を中心に、「企業理念やパーパスに『社会貢献』を掲げる企業で働きたい」との声が高まっているのは、周知の通りです。
企業経営だけでなく新商品開発でも、これからはデジタルや「共創」によるイノベーションが欠かせません。ただその根底に「何のために、誰のために共創を図るのか」といった指針が存在するか否か。それが、イノベーションの成否を左右するのではないでしょうか。