プロの投資には「再現性」がある

ここで「再現性」について話をしておきたい。

プロが行っている投資は、ロジカルで、再現性が高いものだ。ロジカルというところを一言で言えば、「なぜその価値があがったのか」を説明できるかどうか、ということだ。

「なぜそれが高くなったのか」がわからなければ、半ばギャンブルと同じことになる。

僕らのようにヘッジファンドに在籍しているプロの投資家は、大口のお客様から巨額の資金を任されて運用している。ヘッジファンドというと以前は「ハイリスクハイリターン」だと思われていたが、今はお客さんに損をさせないことが重要になっている。

顧客のお金を預かって投資をするのであれば、そんなギャンブルのような投資をすることはできない。したがって「ロジカル」で「再現性」がある投資をしていくことが求められる。

チャートは再現性がなく、ロジカルに説明できない

そうした「再現性」のある「ロジカル」な考え方で、将来の株価を、このチャートから予測できると自信を持って言える人はどのくらいいるだろうか。

おそらく、再現性のある方法でここにあげた3つのチャートの6カ月後を正確に予測できる人は皆無に近いのではないだろうか。チャート分析というのは、その程度のものなのだ。

写真=iStock.com/da-kuk
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では、答えを言ってみよう。

【答え】
チャート[A]の値動きは、7.1%の値下がり(選択肢の④)
チャート[B]の値動きは、30%以上の値上がり(選択肢の①)
チャート[C]の値動きは、30%以上の値上がり(選択肢の①)

ということになった。全問正解者はいただろうか。いるとは思うけれども、なぜ、それがその動きになるのか、論理的に説明できるだろうか?

チャート分析は「従」

実は、この話をするにあたって、僕の知り合いであるヘッジファンドのポートフォリオ・マネジャーにある質問をしてみた。何を質問したのかというと、「自分の投資判断において、どの程度、チャートを使っているのか」ということ。

その答えなのだが、とりあえず概略を言うと、平均して投資判断の16%くらいはチャートを用いるという結果になった。

もちろん、これは平均値なので、なかには30%くらいチャートに依存しているという人もいたし、ゼロ%という人もいた。ただ、結局のところ「チャート分析で全部OK!」なんて人はいなくて、みんな補足としてチャートを使っているだけだった。