安価で安定した電力供給が不可欠だ

日本の人口や国土の事情を考えた場合、ノルウェーのような速度での普及はまず無理だ。とはいえ日本でも都市部を中心にEVは普及の余地があるため、支援策を拡充すれば、普及のスピードをある程度までは加速させることができるだろう。

まず、政府が今まで以上に大規模な減税なり補助金を給付するなどをして、EVの購入を促す必要がある。

それに充電ポイントの施設を進める必要があるが、それには建設会社への補助金のみならず、ガソリンスタンドに業態転換を促すための補助金も要るはずだ。しかし、こうしたコストは当然ながら多額に上ることになる。そして、それらが最終的には納税者に転嫁される点について、EV推進派はきちんと説明責任を果たすべきではないだろうか。

それに、より重要な点は、電力が安価にかつ安定して供給されるかどうかという点にあると言える。

原発を動かさない限り、日本では化石燃料と再エネの二刀流で発電を続けなければならない。しかし化石燃料は市況の、再エネは天候の影響を受けやすい。今冬、日本の電力需給の逼迫ひっぱくは深刻だが、そうした不安定な状況が続けばEVの普及は限られる。

つまるところ、EVの普及は電源構成の問題とも直結する話でもある。HVも脱炭素化という目的にはかなうはずだが、EVを普及させるなら、より出力が高く安定した電源が必要となることは明白だ。

いずれにせよ、他国の美しいところだけを切り離して理想論を語るのだけではなく、参考になる点や応用できる点を冷静に見極めたいところである。

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