使える制度はすべて使う、最後は祖父母に頭を下げる

「学費捻出のために、母親が専業主婦であれば共働きをするのも効果が大きいですね。パートでも年間100万円程度の収入になります」(藤川氏、以下同)

これでも足りない場合活用したいのが、大学や自治体などの奨学金や教育ローンだ。

「奨学金は、日本学生支援機構による貸与型の奨学金がもっとも一般的です。それに加え、私立大医学部では大学独自の特待制度や奨学金制度を設けているので、ぜひ上手に活用してほしいですね。ただ、大学独自の奨学金は成績優秀者限定で枠が非常に少ない。毎年医学部内の成績優秀者で居続けるのは、かなり難しいため、最初から当てにするのはリスクが大きいかもしれません」

また、「地域枠」と呼ばれる、学校や地域を限定した奨学金の制度もある。自治体や大学によって詳細は異なるが、卒業後に一定期間(初期臨床研修を含む9年間)の従事義務を全うすることで、返還の義務が免除されるものもある。

「6年間にわたり月額10万〜30万円貸与されます。国公立大であれば、仕送りなしで卒業できることもあります。私立大医学部の学費を工面するにも、ありがたい制度だと言えます」

奨学金以外の資金としては、金融機関などの教育ローンもある。

「奨学金は子供が借りるものですが、教育ローンは親の借金です。老後資金を準備する前に、負債を負うということなので、利用については慎重に検討してください」

※写真はイメージです(写真=iStock.com/show999)

教育ローンには、国が行っている日本政策金融公庫のほか、各金融機関の教育ローンがある。特に、国の教育ローンは大学入学前に借りることができ、医学部の場合は450万円が上限となるため、いちばん物入りとなる入学資金に充てることも可能だ。返済期間も15年と長く、金利も低め。収入や子供の数といった家庭環境に応じた優遇措置もあるため、ローンの中でも利用しやすい。

「これらの方法に加えて検討してほしいのが、祖父母からの援助です。祖父母は自分の孫を積極的に援助したいと考える傾向にあります」

援助をお願いする際に、もっとも大切なのは「医師になりたい」という子供の強い気持ちだという。

「子供自身がきちんとした身なりをして、直接出向いて“医師になるためにお金を出してほしい”と頭を下げることが大事です」

(文=相川いずみ)
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