僕はいつも「愛情」の反意語は「無関心」だと言っています。「無視」こそがコミュニケーションの最大の敵です。いかなるときも関心を持って人に接していくことが大事です。

上司の1人にコミュニケーションをまったく取らない人がいた。朝来ても挨拶も会釈もしない。こちらが「おはようございます」と言っても、うつむいて知らん顔をしている。

1週間経っても、全然変わらない。ひと月経っても、全く変わらない。その後、やはりその課は混乱しました。不祥事や思わぬ損害が出る部署というのは大概コミュニケーションの不足に起因しているものです。

コミュニケーションのできない人は、商社には必要ない。反対に、コミュニケーション能力があれば、どんな人でも戦力になるのです。

さらに商社マンには、物事を最後まで成し遂げようという「執念」が欲しいですね。私は「執念」を取引先だった中国人から教えてもらいました。

私が香港にいたときに、ある中国人との間でトラブルが起きたのです。私たちは、その中国人の経営する会社に、ある商品を100箱ほど預けていたのです。しばらく経って、その会社が倒産するのではないかという噂が流れ、慌てて商品を引き取りにいったのです。

ところがその会社の倉庫には、商品が30個しか残っていない。70個はどう考えても誰かに横流しされている。それで私がカンカンに怒ったら、その人が、

「あなた、ラッキーだネ」

と、言うのです。びっくりして、何で? と聞き返したら、

「僕が大悪党だったら、何にも残ってないヨ」

と、すごいでしょ。