加藤学長は理事の一人として、田中体制を支えてきた

12月14日付の毎日新聞の社説は「理事長逮捕の日大 解体的出直しが欠かせぬ」との見出しを掲げ、「本当に実行できるのか。日本大学が開いた記者会見を聞く限り、疑問を抱かざるを得ない」と書き出す。

沙鴎一歩も日大がまともな組織に生まれ変わることができるのか、疑問である。

毎日社説は指摘する。

「9月に東京地検特捜部が元理事らによる背任事件の強制捜査に乗り出して以降、大学が公の場で説明するのは初めてだ」

前述したように日大は3カ月という長い期間、社会に対して説明責任を果たそうとしなかった。教育機関として異常であり、失格である。

毎日社説は「理事会が形骸化し、チェック機能が働いていなかったことは(加藤学長が記者会見で)認めた。しかし、自ら理事の一人として、田中体制を支えてきた。責任は重い」と追及し、「専横を許してきた原因の究明と真摯な反省がなければ、組織の再生はおぼつかない」と訴える。

「専横」とは、わがままで横暴な振る舞いや態度の意味だが、まさしく田中容疑者に当てはまる。毎日社説が指摘するように加藤学長は田中容疑者の側近である。記者会見で加藤学長は田中容疑者に対し「永久に決別し、影響力を排除する」と宣言し、逮捕については「伝統ある日本大学が汚されたことに大変憤りを感じ、恥ずかしく思っている」とまで述べたが、どこまで信用できるのだろうか。

日大の理事たちには正義感やモラルはないのか

毎日社説はさらに指摘する。

「そもそも大学が体制刷新に動き出したのは、特捜部が田中前理事長の逮捕に踏み切ってからだ」

東京地検が背任事件で日大本部などの家宅捜査に踏み切った9月8日以来、理事会は何をしてきたのか。嵐が通り過ぎるのを待つようにひたすら沈黙していただけではないか。理事たちに正義感やモラルはないのか。愛する日大をなんとか改善しようと立ち上がる理事はいなかったのか。自浄能力に欠けていると言わざるを得ない。

毎日社説は続けて指摘する。

「理事長退任も本人の申し出によるものだ。その後にようやく、理事会の判断で理事職解任を決め、背任事件の被害届も提出した」
「解任には数人の理事が反対したとされる。自浄能力を発揮するのは容易でないだろう」

田中容疑者が理事長退任を自ら申し出ても、解任に反対する理事が存在する。開いた口がふさがらない。