不用品に埋もれていると感覚が鈍化する
ある取材で訪れたお宅は、まさに「ヘドロ沼」の状態といえました。
夫婦ふたり暮らし、築20年の住宅です。外観こそキレイですが、室内に入ると不穏な空気が漂います。リビングとそこに接する和室を仕切るふすまは、ぴしゃりと閉められたまま。開けてもらうと、畳はモノで埋まって見えず、雨戸が閉まったままで真っ暗です。
「いつから閉まっているんですか?」とたずねると、なんと10年前。2階の寝室も夫の私物であふれ、寝るスペースはありません。ふたりがどこで寝ているかといえば、リビングです。
10年前に何かがあったのでしょう。何があったかはわかりませんが、自分たちにとって都合のよくないことがあり、それを見ないようにしている。感覚がすっかり鈍化し、いや麻痺し、いや不感症といってもいいでしょう。
ここから抜け出すためには、「この空間をよく見て!」としっかりお声がけする必要がありました。
そんな「ヘドロ」に足をとられながら、「どぶ池」に腰まで浸かりながら、平然と生活している人は多くいます。平然としているように見えて、その実、「いじめ空間」に身を置いているようなもの。
そんな中で夢を思い描き、夢を叶えようとしても、それはムリな話。その中で見ている夢など、現実から逃げるための幻想、つまり現実逃避でしかないのです。
「要・適・快」を意識してモノを選抜
現状認識していくことで解決策は見えてきます。それが行動につながっていきます。現状認識とは、よく見ること。よく見て、自分がどう感じているかを認識すること。
そのうえで断捨離では「要・適・快」を意識して、モノを捨て、モノを選び抜いていきます。「要・適・快」とは、
要 要るのか、要らないのか
適 ふさわしいのか、ふさわしくないか
快 心地よいのか、心地よくないのか
を自分の心に問いかけること。
私はあきらめていません。空間の有様を変えれば、人は必ず変わるということを知っているからです。捨てればすべて解決するのに……ともどかしい思いをすることもありますが、断捨離で人生が変わっていく人たちを今日も目の当たりにしているからです。
そこで、多くの人が必要だと思っているけど、実は捨てられるモノを紹介していきます。ただし、これはあくまで私の基準、提案なので、読んでみて、皆さんがご自身で考えてみてください。
さあ、一緒に断捨離で変わりましょう。