出会いの大切さ

初めての講演では、人との出会いの大切さについても触れました。

この地球上に人口70億人。生まれた瞬間から1秒間にひとりずつ、1分間に60人という物凄いスピードで会ったとしても、100年生きたとして約32億人しか会えない。でも、必要な人だとしたら、どんなに離れていても会う。それが「縁」。そこには意味がある。

そして、出会いというきっかけで人間は変われるのです。荒くれの武蔵坊弁慶が牛若丸と戦って、忠実な御付きとなるように。

出会うというのはすごいこと。今日、ゴルゴというおじさんと会った。もう二度と会わない可能性のほうが高い。でも、一度でもこうして会ったというのは、そこに何かがあるわけで……。

ほかにもいろいろと話し、気づけば90分の予定は30分もオーバーしていました。午後イチの時間に始めて、体育館の外に出たら4時過ぎ。空はきれいな夕焼けの茜色に染まっていました。

秋から冬に変わる空気の冷たさを肌に感じながら、「ああ、出し切ったな」と充実感……。北村さんにも「いいお話でした。またお願いします」と言われ、一回だけのつもりで引き受けたはずが、「これからも、やれる限りやらせてください」と答えていました。

少年たちに向けて、大人としてできることが僕の場合、この活動ならば、喜んでやらせてもらいたいと思いました。

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「『命』の授業」に後輩芸人を連れていくワケ

招かれる声に応えて、各地の少年院を訪れました。

講演のテーマでよくやるのは、少年たちの今の状況を考えて、やはり、未来に希望を持てるもの。先にも紹介した「やる気、元気が大事」「目標は達成できる」「考え方で全部変わる」といったことです。

講演には、僕ひとりではなく、「ゴルゴ塾」の塾生もよく一緒に連れて行きました。

後輩のコアという元暴走族同士のコンビはシェーンと改名したのち解散するのですが、彼らは5、6回、行ったでしょうか。あと、あばれる君。そして、2021年に解散しましたが、ザブングルも。

彼らには、僕の講演の中頃、10分だけ時間を与え、ネタをやってもらうのです。最初は緊張しています。けれど、場所や状況は関係なく、舞台に上がればそこはプロ。観客の少年たちは大爆笑。いつものライブとはまた違う高揚感があったようです。

なぜ、後輩を連れていくのか。なかなか売れない彼らに、あらためて笑いを提供する喜びを実感してほしかった。少年たちに対しては、まだ芽は出ていないけれど、夢や目標を持ち、頑張っている芸人の姿から何かを感じとってくれればと考えていました。