挫折を経験したからこそ自己の大切さを知っていた
実際、漱石は、最終的にはイギリスの下宿先に一人こもってしまい、あまりのノイローゼを心配され帰国を命じられています。そうした挫折を経験したからこそ漱石は、自分を見失わずに確固たる自己を持ち続けることの大切さを身にしみて感じていました。
自分という存在を誰よりも代表しそして体現しているのは、自分自身に他ならない、そんな意識を持つようになったのでしょう。
過度のプレッシャーをかわせる「人生の態度」
現代を生きる私たちは、当時とは比較にならないほどの情報量の中で生きています。気づかないうちに、メディアの意見、有識者やインフルエンサーの発言に同調してしまい、「結局自分はどうなのか」ということを見失ってしまいやすいことでしょう。
それだけでなく、親、きょうだい、家族、友人、上司、取引先など、複雑な人間関係の中で揉もまれに揉まれた結果、気づかないうちに本来の自分を見失い、日に日に精神的なダメージを蓄積していってしまっているかもしれません。
自分という存在を代表しているのは、反論の余地なく自分自身に他なりません。この意識を持つことは、現代社会を生きる私たちに少しばかりの自信を与えてくれます。