ザッカーバーグもバフェットの「孫弟子」

フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグとバフェットに直接の接点はありませんが、ザッカーバーグは、バフェットからさまざまな教えを受けたドナルド・グラハム(ワシントン・ポスト社主の後、フェイスブックの独立取締役)から、CEOとしての心得を教えてもらっています。

バフェットは、ドナルドの母親であるキャサリン・グラハム(元ワシントン・ポスト社主)の相談相手でもありました。大学の学生寮で起業したザッカーバーグは創業からしばらくして、「会社のCEOになるのは、大学の寮で誰かと同室になるのとは大分違う経験だ」と気づき、グラハムに「ポストを訪問してCEOとしての仕事ぶりを見学させてもらえないだろうか」(『フェイスブック 若き天才の野望(5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』デビッド・カークパトリック著、滑川海彦、高橋信夫訳、日経BP社)と依頼、数日をグラハムと一緒に過ごしています。

ザッカーバーグはこの時多くを学んでいますが、なかでも、ワシントン・ポストの株式がA株とB株に分かれていて、会社を長期的な視点で経営するためにはこうした制度が有効であることを知り、「将来、このような仕組みが必要になる」と感じています。

バフェットは日々の株価がどうか、四半期決算がどうか、また業績見通しがどうで、見通しと実績の差異がどうだといった細かなことには関心を示しません。ウォール街の人々はこうした数字に一喜一憂し、四半期決算の数字が見通しと比べて良かったか悪かったか、来年度の見通しはどうかといった一つひとつを自分たちの商売の種にしようとします。

もちろんバフェットは、利益を出す必要などないと考えているわけではありません。求めているのは、目先の利益や目先の株価に一喜一憂することなく、会社そのものの価値を高めることであり、長期にわたってみんなが必要とするものをつくり、サービスを提供することです。

そんなバフェットの考え方や、バークシャー・ハサウェイやワシントン・ポストが行っているA株とB株に分けるような長期的視点での経営を可能にする会社の経営手法は、グーグルやアマゾン、フェイスブックなどに強い影響を与え、これら企業の急成長を後押しすることになったのです。