メモ同士にリンクを貼ることが画期的
番号には意味がなく、それぞれのメモを識別するためだけに振られています。
コメント、修正、追加など、新しいメモがすでにあるメモに関係しているか、直接言及している場合は、そのメモの直後に追加します。
既存のメモが「22」なら、それに関連すると思った新しいメモは「23」になるわけです。もし「23」がすでにあれば、「22a」と枝番をふります。このように、数字と文字にスラッシュやコンマを併用すれば、思考の連なりをいくつでも枝分かれさせることができます。
たとえば、ルーマンの因果律とシステム理論に関するメモでは、「21/3d7a6」に続くものは、「21/3d7a7」とアルファベットと数字を交互にした枝番号が振られました。
そして、メモを追加するたびに、ルーマンはツェッテルカステン内に関連するメモを探して、つながりをつくっています。メモの後ろにメモを直接追加するのは、ひとつのやり方にすぎません。さきほども言ったとおり、メモ同士にリンクも貼ります。関連するひとつ、または複数のメモにリンクを追加します。ルーマンは、関係あるメモに、先ほどのメモの数字を書き込んでリンクとしました。これは、私たちがインターネットのハイパーリンクを使う方法に似ています。
メモの段階で文章構成が完成している
さて、メモのあいだにリンクをつけることで、ルーマンは同じメモを別の文脈でも使えるようにしました。フォルダーごとにしてしまうと、その時点でトピックの順序が決まってしまうのに対し、ツェッテルカステンではリンクを貼ってメモを自由に置くことで、あらゆるテーマを発展させることができます。執筆の段階になれば、関連するメモ同士を並べ替えて整理し、これがそのまま文章全体の構成になります。
まだおわりではありません。最後に必要なのは、「索引」です。索引とは、メモが迷子にならないためのもので、別に独立したメモとしてつくります。
メモの中から、キーワードを選び、索引にします。これがあれば、ひとつかふたつのメモを参照すれば、そこを起点に一連の思考やトピックを追うことができるしくみになっています。メモ同士はつながっているので、起点のメモがあればあとは自然と他のメモにもたどりつくというわけです。
方法はこれだけです。実際には、いまはプロセスを簡単にするソフトウェアがあるので、これよりももっとシンプルです。ソフトウェアを使ったデジタル版のツェッテルカステンなら、ルーマンのように紙を切ったり番号を手で振ったりする必要はありません。
ツェッテルカステンの大体のしくみがわかったら、あとはどのように自分のワークフローに組み込むかを理解するだけです。そのためには、私たちがどのように考え、学び、アイデアを発展させるのかを理解するのが最善の道です。あえて一言でまとめるなら、「私たちは、脳の制約を補うために、思考するための信頼性が高くシンプルな外部構造が必要だ」となるでしょう。