細部を考えて実行し、人の役に立てる喜びを実感
③ 社員、スタッフの意識をそろえられる
それぞれの業務を何のためにするのかという「目的」を確認することは大事です。これをマニュアルに明記すると、それぞれの判断で勝手に動くことがなくなり、組織の一貫性がつくられます。
加えて、マニュアルは組織の理念を繰り返し伝えるためのツールでもあります。会議や全体集会などで、企業の理念やミッションを意識して伝えることも大事ですが、それだけでは浸透するのに時間がかかります。
だからクレド(企業の信条をまとめたもの)などを作成して、毎日みんなで読んで意識に刷り込ませようとしている企業が多いのでしょう。
マニュアルは日常的に、そこに書かれてある業務を通して組織の理念やミッションを浸透させる効果があります。理念を伝え続けると、チーム全員の志を一つにできる。すなわち全社員、全スタッフの意識をそろえられます。
④ 仕事の基礎力を身につけられる
マニュアルをつくる段階で、普段何気なくしている作業を見直すことになります。
たとえば、時間が足りないからと毎日のように残業をしているのなら、本当に時間が足りないのか。自分では必要だと思っている作業に、ムダがあるのではないか。そうやって仕事を見直すうちに、時間がないのではなく、自分の仕事の仕方に問題があるのだと気づきます。
多くの人はそれを考えずに、「残業しないで済む会社に転職しよう」と他に解決策を求めるかもしれませんが、それは根本的な解決策にはなりません。どんな会社でどんな仕事をしても、効率的に仕事をしなければ結果は同じでしょう。
逆に、マニュアルで仕事の効率化が身についたら、どこの会社に行っても通用します。社会人としての基礎力を身につけるのにうってつけのツールです。
⑤ 仕事の本質を考えるようになる
いいマニュアルは、「どのように働くべきか」「何のために働くべきなのか」という仕事の本質を考えるきっかけを与えることができます。
そもそもマニュアルは、お客様に満足してもらうのがゴールであり、単に社内を統率するためにつくるわけではありません。お客様に満足してもらうために、どう動くか。それを細部にわたって考えて実行するうちに、人の役に立てる喜びを実感できるようになるのだと思います。
自分や家族のために働く、それも一つの考え方です。しかし、どんな仕事でも人の役に立てるのであり、社会貢献につながるのだと思えたら、仕事の取り組み方も変わってきます。