収入からの積み立てではなく、貯金を投資にシフト
今後2年は月7万円ペースで貯めていけそうですが、気になるのは今の蓄えである1500万円が、全て貯金であるということです。20年、30年後の老後資金にするとなると、このまま低金利の貯金で置いていては増えないでしょうし、むしろインフレの影響で価値が目減りする可能性があります。そのため、生活防衛資金として今の生活費の6~12カ月分を超えた金額を、つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を使って運用して備えることをお勧めしました。
毎月の収入から積み立てていくのではなく、貯金を投資にシフトしていくのです。美知子さんはそのあたりの許容度もあるようで、インターネット上の「つみたてシミュレーション」を見せながら夫と相談し、ぜひ始めたいと、口座開設の申し込みをしていました。
2年後、実際に夫と二人暮らしになった時にも、今の月の貯金額を継続できるかどうかは不明確ですが、うまくいかないときは再度相談に来ていただくこととし、ひとまずは今の計画で実行していきます。もし、2年後に家計がうまく回らない状況であれば、美知子さんの体力を見ながら仕事を増やす、夫の副業を考えるなど、収入アップも検討していく予定としました。
老後資金が不安だという人は多いでしょうが、収入があるうちはまだ、その準備期間とすることができます。来年にはiDeCoの加入年齢が上がりますし、受け取り開始年齢も上がります。高齢者の働き口も増えることでしょう。まだ貯められるチャンスはあり、蓄えに頼らず暮らせる可能性もあるのです。
また、今、老後資金を持っている、作っているという人は、貯金だけに偏って持っているという方が多いと感じます。現金には現金なりのリスクがありますから、目減り防止の意味でも、全部でなくても貯金を投資へシフトしていくことも選択肢にして検討していくといいのではないでしょうか。