75歳まで繰り下げると184%になる

2021年4月、「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、70歳までの就業確保が努力義務となりました。高齢者が大手を振って働く時代の到来です。

高齢期の働く期間が延びることを踏まえ、高齢者が自身の就労状況などに合わせて年金受給の方法を選択できるよう、2020年5月に成立した「年金制度改正法」では、繰り下げ制度について、より柔軟で使いやすいものにするための見直しが行われました。

現行制度では、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始時期について、その上限が75歳に引き上げられました。繰り下げ増額率は1カ月につきプラス0.7%となります。

この制度改正は、2022年4月から適用され、2022年4月1日以降に70歳に到達する人(昭和27年4月2日以降に生まれた人)が対象です。

つまり、75歳まで我慢すれば、受取額は本来もらえる額の184%です。

受け取る年金の総額は、金額×期間で決まるので、定年後も働き続ける人は、なるべく年金の受給を遅らせましょう。ただし、75歳からもらうなら91歳以上生きないと有利にならないので、100歳まで元気に生きるつもりで生活しましょう。

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加給年金をたくさんもらうテクニック

繰り下げ受給をするときに気をつけたいのは、厚生年金の繰り下げ期間中は、本来受け取る予定だった「加給年金」が受け取れなくなることです。

加給年金とは、20年以上厚生年金に加入して保険料を払い続けている夫が、65歳になって年金をもらい始めたときに、夫よりも年下で扶養されている妻がいる場合に支給される家族手当てのようなものです。

また、加給年金は、妻だけではなく18歳未満の子どもや、20歳未満で1級または2級の障害を持った子どもがいる人も、それぞれの年収が850万円未満なら支給されます。