支持率が低迷すれば“菅政権”の末路をたどる
岸田政権が続くうちは、安倍氏と麻生氏の関係を茂木氏が取り持ち、誤魔化しながら政権運営を続けることになろう。問題は、岸田政権が瓦解したときだ。
麻生氏の操り人形である岸田政権の支持率が上昇する見込みはない。来夏の参院選前に内閣支持率が低迷し、「岸田首相では参院選が戦えない」という声が浮上する可能性は高いだろう。菅首相(当時)が衆院選前に退陣に追い込まれたのと同様の道をたどる展開は十分にあり得る。
菅氏の後任を選んだ9月の自民党総裁選は党員も参加するフルスペックで実施された。来夏の参院選前に岸田首相が退陣した場合は、国会議員のみによる臨時総裁選となる公算が大きい。その場合は今回の総裁選以上に「派閥の力」がモノを言うことになる。
そのとき首相は誰になるか。安倍氏は引き続き高市氏を推す。麻生氏の本命は林氏だ。どちらも譲らない。落としどころとしてふたりが容認できる茂木氏に落ち着く――。安倍氏と麻生氏の「密室協議」で次の首相が決まるという展開もありえる。安倍派、麻生派、旧竹下派がまとまれば事実上勝負ありだ。
存在感の薄い岸田首相をそっちのけで、清和会を背景とする安倍氏・高市氏、大宏池会を背景とする麻生氏・林氏、旧竹下派を背景とする茂木氏の三極の駆け引きが参院選前の総裁選実施を視野に進むとみられる。自民党は大勝したが、岸田首相の政権基盤は極めて脆い。