「誰かに教えるつもり」で学習効果が抜群に上がる

教えるためには、内容をしっかりと理解する必要がある。学ぶ側からの質問でも新たに学ばされることも少なくない。また、教える行為そのものに、頭の中を整理して、自らの理解を深める効果があると感じます。──と、完全に教える側の話をしてしまいましたが、ネトイスコらの実験が面白いのは、勉強するときに、後に誰かに教えることを前提に学ぶと「思っているだけ」という点です。

それを意識すれば、より緊張感や集中力、注意深さを持って学んだり、深堀りしたりします。また、「忘れると教えられない!」という緊張感が、短期記憶にも強く作用し、さらに長期記憶にしっかりと移行させる必要性を脳に実感させるのでしょう。

みなさんもぜひ、後で誰かに教えるつもりで学んでみてください。

ただし、思っているだけだと脳が慣れて「うそだな」と思ってしまうかもしれないので、家族、友人、恋人など、実際に誰かに説明するような機会を強制的に設けるのがおすすめです。そうすれば、さらに高い効果が期待できるはずです。

勉強やインプットの前に10分散歩すると記憶力が25%上がる

スティーブ・ジョブズの散歩好きは有名ですが、Facebook(現メタ)創業者マーク・ザッカーバーグも散歩の習慣があるそうです。集中力や記憶力を高め、インスピレーションを豊かにし、インプットもアウトプットも最大化する、そんな効果があるようです。

では、なぜ散歩にそんな効果があるのでしょうか。

ポイントとなるのが、脳血流。散歩によって、脳の血流がよくなり、十分に血液がいきわたることで、脳が活性化するのです。

写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

イリノイ大学のサラスらは、こんな実験をしています。

実験内容
被験者群を2つに分けて、名詞を記憶するテストを実施した。覚える前に、一方のグループは10分歩き、もう一方のグループは10分座って風景写真を見た。名詞を覚えた後、もう10分間、それぞれ同じ行動をしてからテストを実施した。

結果は、歩いたグループのほうが、座っていたグループよりも25%よい成績になりました。ちなみに、覚えた後の行動を、歩いたグループが風景写真を見るというように逆にしても、結果は変わりませんでした。

勉強をする前に歩いて体の血液を巡らせると、脳にどんどん血液が送られてエンジンがかかり、勉強の効率がアップするわけです。

散歩に限らず、走ったり、泳いだりと、そのほかの運動でも血流量が増える効果は見込めると思いますが、疲れきって勉強をする気を失っては問題なので、体力のない方や運動が苦手な方は散歩から始めるとよいでしょう。