家族の国民年金保険料などを払った場合も控除できる

生命保険料や地震保険料などを払っている人にとって、「保険料控除申告書」はおなじみのものだと思います。その中に「社会保険料控除」という欄があるのにお気づきでしょうか。給与から控除される社会保険料は源泉徴収額を決める際に考慮されていますから、年末調整時に申告する必要はありません。しかし、給与から控除されていない社会保険料については、「保険料控除申告書」を提出すれば年末調整を受けられます。

社会保険料控除は自分自身の社会保険料のほかに、生計を一にする(別居も可)配偶者や親族の分を負担した場合にも使うことができます。例えば、大学生の子どもの国民年金保険料を、親が代わりに払っているという家庭。あるいは、過去に滞納したり免除を受けていた保険料をまとめて払っている家庭です。そのような場合は、「保険料控除申告書」に日本年金機構から送られてくる社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を添付して勤務先に提出してください。

国民年金保険料以外にも、国民健康保険の保険料や介護保険料などが対象になります。ただし、生計を一にする両親の介護保険料であっても、保険料が両親の年金から天引きされていると年末調整の対象にはなりません。

課税所得は住民税計算の基になりますので、該当する控除がないかをしっかりチェックしてください。控除を使っていないことが分かれば、書類を整える手間はかかりますが、5年間さかのぼって還付申告を行うことができ、納め過ぎた税金が戻ってきます。すでに確定申告をしてしまった人は更正の請求を行います。還付申告同様、5年間までさかのぼることができます。

年末調整で不足分が徴収されることもある

ここまでは年末調整でお金が戻ってくるケースです。一方、年末調整でさらに税金を徴収されるケースもあります。

例えば、年末のボーナスが予想外に多かったなど、収入が増えたケースです。源泉徴収されていた金額では納税資金が不足するため、不足分が徴収されるわけです。多くの場合、年末調整を行う月の給与から引かれますが、金額が大きいと翌月の給与から順次引かれることもあります。

収入が増えることによる徴収は、ある意味うれしい誤算ですが、扶養親族が控除の対象にならなくなったことにより、追加徴収が発生するケースがあります。扶養控除は12月31日時点で判断されます。12月末時点で扶養親族が減った場合でも1年を通して扶養親族がいなかったものとして所得税を計算されますので、追加徴収となる恐れがあるのです。