競合他社とは一線を画す昭和ノスタルジックな広告塔

セブン‐イレブンは「セブンプレミアム」、ローソンは「ローソンセレクト」と当たり障りのないブランド名をつけている中で、なぜファミリーマートは「お母さん食堂」というキャラ立ちをしたネーミングをしたのか。普通に考えれば、セブンとローソンの惣菜と明確に差別化することで、消費者に強いインパクトを与えて「売る」ためだろう。

そんな前のめり感が伝わってくるのが、店頭に飾られた「お母さん食堂」の宣伝ポスターである。女装した香取慎吾さんを囲むように、今はほとんど見ることない、三角巾と割烹着姿という女性たちが調理をしている姿が昔の映画ポスターのようなタッチで描かれている。昭和ノスタルジックなイメージを訴求しているのだ。

これはコンビニ利用者の高齢化が進んでいるからだと思われる。コンビニというと1人暮らしの若者が弁当を買っているイメージを抱く方も多いだろうが近年、若年層のコンビニ離れが進んでおり、メインの利用者は50歳以上。いわば昭和生まれのおじさん、おばさんたちだ。

この世代に惣菜を買わせようと思った時、子ども時代に食べた「昭和のおふくろの味」のイメージを訴求する戦略は当然考えられる。懐かしの「慎吾ママ」をリバイバルしていることからも、ハナから若者をターゲットにしていないのは明らかだ。

一部の層には懐かしくても、他の層にとっては「偏見」

そんな昭和生まれ世代の価値観を前面に押し出した「お母さん食堂」は令和の女子高生から見れば、「無意識の偏見」以外の何者でもない。「言語表現」としても問題が生じる。国語辞典編纂者で『三省堂国語辞典』の編集委員も務める飯間浩明氏も自身のSNSで、「こういった商品名は、少なくとも今後は避けた方がいいだろう」という考えを示している。

つまり、「お母さん食堂」が「言葉狩り」に遭ったというのは、ファミリーマート側が「インパクトのあるブランドにしたい」という思いが強過ぎたがゆえ、ターゲットである50歳以上へ向けて、過剰にノスタルジック感を出したがゆえ、今の時代の感覚とかけ離れてしまったという側面もあるのだ。

さて、そこで次に気になるのはどうすれば「言葉狩り」という問題を避けられるのかということだが、まず、どこの企業でも実践できるのは、「外部の人間による事前のリスク評価」だ。