「無症状のPCR陽性者狩り」に意味はない
新規感染者を減らすことに偏った取り組みは、社会の分断という副作用を生みました。PCR検査で陽性になれば、無症状でも隔離され、断罪されるという状況でした。知らないうちに陽性になってしまって叱責された人も出る始末でした。
私は「陽性者狩り」とひそかに呼んでいました。コロナ専門家が、保健所職員を使ってPCRで国民を狩っていくように思えたからです。
専門家は濃厚接触者追跡の無限の作業を保健所に担わせ、治療の管理までさせました。陽性者が増えれば自宅療養者に目が届くわけありません。テレビでは保健所がパンクしていることがたびたび報道されていました(注9)。私は「治療ネグレクト」と名付けました(注3)。
無症状の陽性者が多発する新型コロナウイルスでは、従来の保健所管理の2類では最初から破綻することが明白でした。それこそ専門家たちが新しい分類を作るなりして、アドバイスして解決すべき問題だったわけです。
若者への自粛の副作用
入学してもリモート授業しかなく、顔を合わせる同級生がいませんでした。頭痛がひどくなってしまった中学生、学校をやめた大学生などたくさんの被害に遭った学生さんにお会いしました。
「人間は人間に会うのが自然です。お母さんから生まれたあと、携帯端末じゃみんな生きられないでしょう? 人間は人間に触れて、手触りや匂い、体温を感じて、人間の中で生きていくようにできているんです。不自然な環境で体調を崩すのは、病気ではない正常の反応です」と何回も子供たちを励ましました。
若者たちに、新型コロナは被害がほとんどありません。子供のうちに軽い症状で感染することによって、ウイルスの中で人類は生きのびてきたのだと思っています。陽性になっても構いません。
もし若いうちに感染しておけば、数十年後にコロナに強い高齢者になることでしょう。私は、さまざまな国で若年者への接種が規制されてもいる遺伝子ワクチンは、全体的に被害の少ない日本ではなおさら不要だと主張してきました。ワクチン接種は、陽性者数減少にはつながらないとの報告もあります(注10)。
これからやる3つのこと
新型インフルエンザが流行したときに教訓になったはずのものが、今回も作られることがなくデジャブのようだと記しました(注11)。これからやるべきことは3つだと思っています。コロナ入院治療の動線の分離、感染症に合わせた分類のシステム、必要な薬剤の許認可の迅速化の3点です。
病院に補助金を出すことで解決すると思いきや、看護師さんなどの給料にもならず私たちの病床にもならず、専門家直轄の病院ですら病院経営や投資に回ったりしました。首相が直接、幽霊病床の解消に向けてコロナ入院治療の動線分離の対策を直接指示することは評価されるべき内容です。