必要なのは「自分を許すこと」
結局、何事にも必要なのは「自分を許すこと」だと私は思います。
このKさんの場合も、精神科医のせいにしていいから、とにかく1回、休んでもらうしかありません。「今、自分は精神科医に仕事を休むように言われたせいで姉のための援助ができません」ということにして、その間に少し休憩して自分自身の人生について考えてもらうことにしました。
別にお姉さんのために何かをするのは止めませんが、生きる意味の大半をお姉さんのために設定してしまっていると、お姉さんが何か不測の事態で亡くなった場合、その後どう生きていくのかすらわからず迷子になりかねません。
だから、やはりその人の人生はその人が主役であり、自分を最優先にすることを自分自身に許さないといけません。
「最優先にすべきは、自分の人生なんだ」ということに気づけたら、改めて、そのうえで無理のない範囲で、自分はお姉さんに何ができるのかを考えられるようになれればいいのです。
人は過去を変えることはできないし、現在もなかなか変えづらい。でも、未来は変えることができます。
精神科医だけに限らず、誰かの何気ないひと言で、考え方の軸が大きく変わることはいくらでもあります。
ただ、そこで変わったことを「悪いこと」と拒絶せず、受け入れ、よい方向に向かうことを、自分に許してあげてください。
一番大切なのは自分自身だと気づいてほしい
自分の未来を変えることの言い訳に医者が使われて、誰かの心がラクになるのは、医者の私からすれば本望ですし、本書だって、そうした言い訳を皆さんにつくっていただくために書いています。
ですから、辛い未来だけを見なくてはならないという呪いから、勇気を持って抜け出してください。自分を大切にして、「バク先生が『休みなさい』とか『面倒くさいことは避けなさい』と言っていたから」と、一旦休憩することを自分に認めてあげてください。
結局、あなたの人生において一番大切なのは自分自身なんだと、まずそのことに気づいてほしいのです。
生きづらさをラクにするために必要なのは「自分を許すこと」。