「店はお客様のためにある」究極の顧客志向

それに対し岡田は、「本当に新しく生まれ変わろうとするなら、長年培ってきたこれまでのイメージはマイナスにはなっても決してプラスにはならない」として、突っぱねた。

同時に、それまでの連邦制経営を捨て、「ゆるやかな連帯」へと、経営方針自体も転換した。

合併や親子関係にこだわらない、よりフレキシブルなグループ構造を目指したのである。

「変化の激しい時代に一からすべて自分でやっていては時代に取り残されてしまう。それよりも、こちらがもっていないノウハウやソフトを保有している企業とゆるやかでもいいから提携していく」ことを目指した。

親会社のジャスコが支配力を発揮するのではなく、各社が台頭の立場で意見を出し合い、そのノウハウをいかしていくほうに大きく舵を切ったのである。

そうして、今日イオングループは、国内外300社以上の企業グループからなる巨大流通企業グループとなった。

このように、「大黒柱に車をつけよ」とは、ただ単に立地の変化への対応だけでなく、「お客様の変化に適応する」、あるいは「時代の変化を先取りする」ということになる。つまり、政策そのものの変更をも意味する。

その根底にあるのは、「店はお客様のためにある」という、究極の顧客志向の体現を目指すものである。

写真=iStock.com/shironosov
※写真はイメージです

徹底したお客様本位の中で育った7代目

岡田卓也は、初代から7代目にあたる。徹底したお客様本位の中で育ってきた。

岡田屋というのれんを守るための理念、「店は客のためにある」を、姉の千鶴子から徹底的に叩き込まれた。

採算を度外視した返金、座売りから立ち売り、伝統的な呉服店から洋品店へ、ショーウインドウや出張販売など、のれんを守りつつ、とにかく目新しいものへと、取り組んでいった。

「今度は岡田屋は何をするのか」といった斬新さは群を抜いていた。

一方、社長となってから、広くは商業界の若きリーダーとして、地域では商店連合会の会長、商工会議所の副会頭として、「岡田屋を滅ぼすのではないか」といわれるほど大きな店舗を平気で地元へ誘致をしたりもした。これも「お客様のため」である。

さらには、岡田屋を捨て大同団結してのジャスコ誕生等、単なる商売の域を超え、大企業になるべく動き出す。