それにもかかわらずバイデン政権は増税を考え、財政状況の改善を図ろうとしている。また米国では現在、国債発行額が上限に達し、新たな国債の発行ができない状況にある。このままでは10月にも資金が枯渇する。デフォルトだ。期日のきた借金や金利の支払い、公務員への給料等が払えなくなってしまうのだ。

とはいえ最終的には民主党と共和党がデフォルト回避のために国債発行上限の引き上げに合意するとは思うが、日本よりはるかにましな財政状態にありながらこれ以上の国債発行に警戒をしているのは事実だ。

冒頭、自民党総裁選の候補者たちは、財政のバラマキ列挙で、尻ぬぐいには触れていない。それをマスコミも国民も問題にさえしないのだ。日本が、いかに能天気かがわかるだろう。

ちなみに日本の借金対GDP比266%は、第2次世界大戦直後より悪い数字だ。昭和21年には、ハイパーインフレ沈静のために預金封鎖・新券発行が行われました。旧円は無効になったのだ。

世界最悪の認識が無ければ日本復活はあり得ない

異次元緩和で危機先送りをする前の、日本経済そして日本財政の極めて厳しい状態がお分かりいただけたと思う。それにも関わらず冒頭に書いた通り、与野党は、バラマキ政策のオンパレードだ。「ばらまかなくては選挙に勝てない」、「ばらまかないと世論にたたかれかねない」かの様相だ。

一方、はるかに財政状態がまともな米国は真逆だ。コロナ処理のために増税議論も始まっているし、バラまきをして「債務が膨張」すると世論が批判する。本稿で書いた債務上限枠に関し、8月21日付の日経新聞夕刊が「民主党は債務膨張への世論の批判をかわすため」と書いている通りだ。

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破綻寸前の日本は「ばらまけ。ばらまけ」のオンパレードで、財政がまともな米国では「ばらまくと世論の批判」が上がる。どちらが正常の姿かは明らかだ。読者の皆さんは、ぜひこのことを踏まえ、冷静に現状を把握してほしい。政治家の甘い言葉や、総裁選一色になったテレビに惑わされ、世界の常識を決して忘れてはいけない。世界最悪の現状認識が無ければ、コロナが収まっても日本だけ「失われた40年」に苦しむことになるだろう。

世界断トツのビリ成長の上に、政府は世界最悪の財政赤字を抱え、日銀は世界最悪の財務状況が放置され続けている。それに対して能天気な政治家はポピュリズム政治に邁進中だ。大丈夫か、この国は?

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