清和会では河野派、岸田派も

「岸田氏や河野氏を応援すると公然と言っている議員は何人もいます。それに清和会では、総裁選立候補に名乗りを上げていた下村博文さんはじめ他にも候補はいるわけで、なぜ、高市氏なんだといぶかる議員もいる」(同前)

本命だった菅首相が不出馬となり、混とんとしてきた総裁選だが、いち早く出馬表明して、政策を固め支援を呼び掛けている岸田氏が、一歩リードしているという見方が有力だ。麻生派に属する衆院議員がこう語る。

「もし菅首相と一騎打ちになっていたら、岸田氏が勝っていたでしょう。昨年の総裁選は、頼りない印象でしたが1年でけっこう変わった。岸田陣営には選挙プランナーや安倍前首相の補佐官だった今井尚哉氏もアドバイザーとして入っているそうです。政権を任せてもいいかなと思えるようになった。胆力がついた」

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同じような意見が複数、聞かれる。中でも見事だったのは、二階俊博幹事長を念頭にした自民党役員の任期を1期1年、3年までに制限する党改革案だ。竹下派の衆院議員がこう話す。

「これはいわゆる“二階外し”の秘策。安倍前首相、菅首相ですら二階氏の首に鈴をつけられなかった。二階氏は権力闘争となれば、自民党を割って出ても戦うという執念があります。そこに手を突っ込んだ岸田氏に対し、安倍前首相が評価したので、菅首相がそのアイデアを横取りし、二階氏を切ろうとした。党内で何かもめごとがあると『幹事長の天の声』が降りてきて、煮え湯を飲まされた議員はたくさんいる。最初に党改革案を切り出した岸田氏の功績は、二階外しだけを見ても大きいものがあります。岸田派だけでなく、今回は派閥横断的に票を集めるはず」

その対抗馬は世論調査でも「次の首相」として常にトップ争う河野氏だ。河野氏も所属する麻生派の国会議員は嬉しそうにこう証言する。

「選挙だけを考えれば、河野氏が首相で小泉進次郎氏が支えるというのはベストの布陣。派閥関係なく、若手議員中心に支援が急速に広がっています。推薦人20人は独自で確保済みとも聞いた」