麻生派は喧々囂々
だが、一方で麻生派内部では喧々囂々だという。
「麻生派で河野氏を推すという声はあまり聞こえません。河野氏が総裁選で勝利となれば、麻生氏はお役御免の隠居のような立場になり、要職にはとどまれない。派閥内では気を使って河野氏支援とは言い出せない。河野氏を幹事長にしたいと依頼してきた菅首相に『そんなことは無理だ』と麻生氏は突き放した。河野氏は次の次あたりの首相という構想だったようだ」
麻生派を挙げて河野氏支援にまわる可能性が薄く、自主投票との見方を示した。2012年の総裁選では1回目の投票で、安倍氏を上回った実績がり、人気の高い石破氏はどう動くのか。石破グループは17人で推薦人20人に足りないこともあり、まだ態度を明確にしていない。
菅首相が不出馬となった後、誰を推すのか、態度をハッキリさせていない二階派。石破氏は二階幹事長に支援を要請したという。だが、野田幹事長代行も3日、二階幹事長に支援要請をしている。
「二階外しの騒動から、まだ次の候補者を考えていないのが、派内の空気だ。だが、二階氏は岸田氏にコケにされて黙って引っ込んでいるわけがない。本命は野田氏だ。もともと次期首相候補として幹事長代行に据えた。安倍氏が支援する高市氏に野田氏をぶつけて、対決という選択もあり得ます。だが、二階氏は支援要請をした野田氏に『推薦人がもう少しで揃うという段階になったら考える』と条件をつけた。野田氏が勝つ見込みがない状態で支援すると派閥が割れかねない。安倍氏と麻生氏が絶対に勝たせたくない石破氏の支援という選択肢ももちろんある」(二階派幹部)
石破氏以外に票を分散も
やはり、総裁選の鍵を握るのは、自民党最大派閥・清和会のトップである安倍氏と第2派閥・志公会(麻生派)領袖である麻生氏。候補者が出揃いつつある中でも、派閥としての動向はまだ決まっていない。
「投開票までまだ時間があるので、2派閥の対応はギリギリまで決まらないのではないか。どの候補者が勝つか読めないので、派閥として明確な支援をせずに、石破氏以外の勝ちそう候補に票を分散させる対応になる可能性もある」(前出・自民党の閣僚経験者)
投開票の箱が開くまで結果が読めず、チキンレースが続く。
(AERAdot.編集部 今西憲之)