銀行はどのような対応をしているのか

冒頭で紹介したSNS上での「銀行口座買い取り」の話に乗ってしまう人がいることも、詐欺集団に荒稼ぎを許す要因になっています。詐欺犯は口座を買い取って、転売すればそれだけでぼろ儲けできます。

写真=iStock.com/west
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こうした事態に銀行側はどう対処しているのでしょうか。実は、これまでロマンス詐欺などの被害者の話を聞くなかで、犯罪に使用された口座に対する対応が銀行によってマチマチであることがわかっています。

被害者が、銀行に「詐欺に使われた口座だ」との通報をして凍結依頼をしたものの「『後日、連絡をします』と言ったきり、まったく電話がかかってこないケースもあった」と聞いています。

しかしその一方で「しっかりと対応をしてくれて、他の銀行の不正口座の通報先の電話番号まで教えてくれて、何もわからないなか、とても助かった」との声もあり、対応が銀行ごとにバラバラなのです。

つまり、道具屋に「買い取り強化」と名指しされたり、頻繁に詐欺に利用されたりしている銀行は、「不正口座への対策が手薄」と判断されたため、狙われた可能性があります。

詐欺犯の目線でいえば、「銀行口座の不正使用がバレても、銀行側は口座を凍結する程度の対応しかしない。だから、自分たちの不正行為が仮に発覚しても深く追求されない」と計算したのかもしれません。

もちろん今は、SNSで名前を晒されたメガバンクは不正利用されている実態に気づき、警察への捜査協力もして対策も打っているでしょうが、他の銀行で不正口座への対応が手薄なままのところがあれば、今後、詐欺犯らから狙われて詐欺に悪用されてしまうに違いありません。

今、銀行では、窓口担当者が勇気をもって顧客が不正送金するのを阻止する事例も多く出ています。警視庁もATMでの携帯電話を使えなくして、還付金詐欺を防ぐ取り組みもしています。

消費者庁、金融庁、警察庁も合同で注意喚起している

これらは、重要な取り組みで評価できます。しかし、もし「不正な口座を作らせない」「もし不正口座が発覚したら、警察に不正使用されたすべての口座に対して被害届を出して徹底的に捜査依頼をして犯人をとことんまで追及していく」といった姿勢に乏しい場合、被害は深刻化してしまうでしょう。

「還付金詐欺」「ロマンス偽投資サイト詐欺」の被害をなくすためには、窓口やATMからの振り込みを阻止する“水際対策”と共に、不正口座の開設を阻止し、徹底追及する根っこからの対策をする。この両面がなければ組織的詐欺による犯罪を根絶することはできません。

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