「32歳でまだやんちゃ、治らない」「抜けきれない、番長的な要素」

今回の件についてはプロ野球関係者がSNSやメディアで個人の意見を発信している。目立つのは、ネガティブなものだ。なかでも、お笑いタレントの有吉弘行が22日、ラジオ番組で放ったコメントは鋭かった。

「まだやんちゃ、治らないんだね。32歳で体育会系って、今どきなかなか見ないけどね。抜けきれないか、番長的な要素が。ますます清原に似てくるもんね」

清原とはもちろん、清原和博氏のことだ。今回の件では起こした騒動にしても、その風貌にしても、清原氏を思い起こした人は多いだろう。毒舌が持ち味の有吉らしく、それをズバリと言って皮肉ったのだ。

清原氏も現役時代、死球を当てた投手にバットを投げつけ乱闘に発展させるなど、武闘派伝説が付きまとった。風貌がコワモテなのも共通する。また、ともに大阪の強豪高校の主力として甲子園を沸かせたこと(中田の出身は広島)、パ・リーグの球団で活躍した後、巨人に移籍入団したこと、ゴールドのネックレスを好んでつけるセンスなど共通項は多い。中田が清原氏に似ていると思われるのも無理はないのだ。

日本ハムから巨人に移籍し、記者会見する中田翔=2021年8月20日、東京・大手町(写真=時事通信フォト)

もっとも昔のプロ野球には、こういうタイプは結構いた。見た目からしてコワモテで、乱闘騒ぎが起これば、真っ先に飛び出していくというような。

こうした気質はどのように養われたのか。要因のひとつに挙げられるのは、部活だ。指導という名の下に上級生が下級生を、あるいは監督が部員をしごいたり、叩いたりすることが黙認される体育会系部活が当たり前だった時代があった。当時はそうしたパワハラ環境に耐え、順応できた者が生き残れた。その結果、一部の選手は暴力に対するハードルが低くなってしまった可能性があるのだ。

ちなみに中田が出た強豪・大阪桐蔭高校は体育会的指導を行っていない。上下のしきたりなどなく、選手が実力でレギュラーの座を競い、その切磋琢磨の中でチームも強くなった。そんな中にも中田には武勇伝がある。下級生をいじめたのではなく、気に入らない上級生に制裁を加えたという。ある意味、大物ではあるが、気分を害されると躊躇なく手が出てしまう、という気質が備わっていたのかもしれない。

加えて野球は、チームスポーツでありながら個人競技の側面がある。飛びぬけた才能を持つ投手や打者がいれば勝利に近づけるから監督は重用するし、チームメートも一目置く。なかには、そういう扱いを受けることで、自分を偉いと勘違いし、何をしてもいいと思う者が出てくることがある。