「4年に1度の舞台」への情熱はメーカーも同じ

「矛盾をひとつひとつ解決していくのがスポーツ用品の基本的なモノ作りの考え方なんです。特に当社の場合は、ひとりひとりの選手にあわせて物を作っていく。ひとりひとりの意見を聞いて改良をしていきます。今度の大会に合わせた製品は夏のスポーツに対しては100パーセント快適であるように作りました」

野地秩嘉『新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語』(KADOKAWA)

フリースやヒート性のアンダーウエアが登場してから、一般の衣料も機能性を追求することが当然のようになってきた。同時に「今年の流行は何々」といった外形デザインの流行という勢いが失われてきた。一般の人でも「流行りの服」ではなく、ストレスの少ない楽な機能性衣料をまとうようになった。

楽な服とは、つまり伸縮性に富み、軽く、吸汗、冷涼感があり、しかも保温性のある服のことだ。それはスポーツウエアである。スポーツウエアが現在のファッションの主流となった。

そして、アスリート用スポーツウエアと一般のカジュアルウエアの違いと言えば、前者はひとりひとりの選手を見つめたオーダーメードになっていることだろう。代表選手が着るウエア、シューズは極め付きのサービスからできあがっている。

オリンピック・パラリンピックは4年に1度、開かれる。アスリートはそれに向かって練習を積み、試合に出てパフォーマンスを上げていく。スポーツウエアのメーカー、公式服装のメーカーもまた4年に1度の舞台で開発の成果を発表するために研究を重ねている。

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