史上初の「無観客開催」は正しい判断なのだろうか。開幕まで1週間を切った東京五輪。「都民の命と健康を守り、安全を重視」が有観客にしなかった大義だが、スポーツライターの酒井政人さんは「コロナ感染の重症者数は減っている。また、人はパンのみに生きるにあらず、という言葉の通り、人が生きていくためには精神的満足・充実を得ることも大切。そのためには生で観戦するのが最適な方法のはずだ」という――。
2020年の東京オリンピックに向けた特別ライティングされた東京スカイツリー(2019年7月29日)
写真=iStock.com/Joel Papalini
※写真はイメージです

なぜ、東京五輪だけが「無観客」なのか?

いよいよ開幕する東京五輪。今回の史上初「無観客開催」(東京と神奈川、埼玉、千葉3県の競技)というジャッジは“正解”といえるのだろうか。

世界中がコロナ禍にあるものの、各国の主要なスポーツイベントは「有観客」に舵を切っている。大谷翔平が出場した米国メジャーリーグのオールスター(7月13日)は約5万人が観戦。テレビ映像などを観る限り、マスクをしていた人はごくわずかだった。

英国でも7月6日からチェンジしている。ロンドンのウェンブリー・スタジアム(収容人数9万人)で行われたEURO2020の準決勝(7月6、7日)と決勝(同11日)は、イギリス政府からスタジアムの観客動員数を75%まで増加させる許可が出た(※ただし観客は入場条件として、新型コロナウイルス検査の陰性証明書や観戦試合の14日前までに2度のワクチン接種を完了した証明書を提示する必要がある)。その結果、EURO2020はウェンブリー・スタジアムで6万人を超える観客が熱狂した。

テニスのウィンブルドンも観客数を50%程度に抑えて行われていたが、7月6日の準々決勝以降、メイン会場などの人数制限を解除した。なお英国の人口は約6800万人で、7月6日の新規感染者は約2万9000人もいた。ワクチンの普及により、死者数などが低く抑えられているとはいえ、新規感染者は人口を考えると、日本の15倍近い(日本は7月15日の新規感染者数が3418人)。

プロ野球、Jリーグ、陸上「人数上限5000人かつ収容率50%の制限」

では、日本国内のスポーツイベントはどうなのか。

非常事態宣言下では、プロ野球、Jリーグ、陸上競技などの大規模イベントは、「人数上限5000人かつ収容率50%の制限」で行われている。現在開催中である甲子園の東東京大会と西東京大会もメガホンなど鳴り物の持ち込みを禁じているが有観客で行われているのだ。

なぜ東京五輪だけが「無観客」なのか?