「腸もれ」を発端に、体のあちこちで炎症が起きる

このように、腸壁の細胞と細胞のあいだが開き、ごく小さな隙間ができてしまった状態を「リーキーガット」といいます。英語でガットは「腸」、リーキーは「もれる」を意味します。日本語に訳すと「腸もれ」です。

本間良子『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム)

小さいとはいえ、隙間は隙間。腸壁に隙間ができると、そこから腸内にいる細菌や毒素、未消化の食べものなどが体内へどんどん「もれ出て」いきます。すると、「これは大変だ!」と免疫システムが働いて、抗体がつくられ、異物を攻撃しはじめます。

もちろん、このとき免疫機能が働くことは、とても大切な体の機能です。しかし、開きっぱなしのドアから次々と入ってくる毒素や異物と戦っていると、過剰な攻撃となって、まわりの腸壁の細胞まで傷つけてしまいます。

こうなってしまうと、腸内環境はますます乱れ、しかも乱れの原因となる毒素をどんどん体内に取り込んでしまうという悪循環ができあがります。

グルテンは、体のいたるところに炎症が起きる原因となり、さまざまな不調を招いているのです。それこそ、腸が炎症すれば下痢や便秘になるし、脳や神経が炎症すれば認知症の原因となります。

まずは3週間、「脱小麦」生活を試してみる

日々の不快な症状が気になっても、なんとなくやり過ごしている人は多いと思います。その不快な症状の原因が、実は毎日食べている「小麦」かもしれないと知って、驚かれているかもしれません。

私のクリニックではグルテン不耐症の人を対象に、まずは3週間の「脱小麦」生活をしていただきます。たった3週間、小麦を抜いただけで、みなさん驚くほど体調が改善します。

「小麦を食事から抜くなんて大変そう」と思われるかもしれませんが、「脱小麦」のやり方はとてもシンプルです。

「脱小麦」生活のコツ
①まずは1週間、ならし運転で「脱小麦」生活を体験する
②「小さい小麦」は無視。主食の「大きい小麦」だけをやめる
③米粉などを「代用」して、好きな食べものをあきらめない
④平日だけ「脱小麦」。休日は心のリセットをする
⑤症状の変化を記録して、モチベーションをキープ

ふだんの食事から3週間、小麦を抜くだけです。大切なのは、無理をすることなく続けていくこと。3週間続けているうちに、あれほどしつこかった不快な症状が軽くなって、体調がよくなり始めたことを実感できるはずです。

本書には、「小麦」が招く不調の原因についてもっと詳しい解説や、「脱小麦」の食生活をすすめるうえでの具体的なアドバイスなどを載せています。ぜひ本書を参考にしながら、「脱小麦」生活を実践してみてください。

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