社長になってやめたこと、変えたいこと

社長に専念することになってやめたことがあります。それは店舗スタッフとしてお店に立つことです。社長就任後もSVを兼任していたため、人員の管理は業務のひとつでした。

藤﨑忍『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)

店舗でスタッフが足りなくなった場合、店に立つことはあったのです。

社長になってからも「浅草花やしき店」や「市原ぞうの国店」のオープニングには駆けつけましたが、さすがに厨房やカウンターには入りません。もし何かトラブルがあったときに、最終責任者として全うしなければならないことがある立場だからです。

また、店のなかでお客様に対応していると、気になるオペレーションをつい指摘しそうになります。しかし店舗運営はSVや営業部長が責任を持って担当している仕事です。そこに私が出ていくべきではないと思います。社長が直接現場に口を出したら、きっと現場も萎縮してしまいますよね。

一方で考えているのは、人事制度の改革です。ドムドムを譲り受けて以降、人事制度は元の会社のものをそのまま引き継いでいました。

長い歴史のある会社なので、個人の現状評価ではなく、蓄積された評価を重視する制度を運用してきました。社員の評価が等しくできていない状況だったのです。例えば同じ職務内容でも、年齢によって格差がある。そうなると、実力があって結果を出し、頑張っている若手がやりきれません。モチベーションも下がるでしょう。

そのような不公平なことについては、きちんと是正ができるシステムに変えていこうと思っています。すぐには無理なので、何年かかけて変えていく予定です。

ただし、年長者を敬う社風は忘れてはならないと思っています。

手紙に込めた社員への思い

SV職から離れた今でも、月1回ぐらいの割合で店舗に手紙を送ります。手紙といってもうちはアルバイト店員が多いので、店長さん宛てに手紙をメールで送り、それをプリントアウトして、お店に貼ってもらっています。手紙は私専用のどむぞうくんがついた便箋を使っています。

20年にマスクを送った時は、各店舗に手書きの手紙を添えました。コロナ禍での現状を労い、それでもお客様のために心を尽くして欲しいというようなことを書きました。

決算の数字が出た後は、その都度、数字の報告もします。売上がアップすることは現場のスタッフの努力の結果でもあります。結果が出ると誰でも嬉しいし、さらなるモチベーションのアップにつながりますからね。

そして最後には必ず皆さんへのお礼を添えるようにしています。

打ち合わせや会議、ちょっとしたことでスタッフと直接やり取りする時も、相手を大切にするように接しています。こちらが相手を大切に思うことで、相手の意見をきちんと聞く姿勢が生まれます。どんな意見・提案を聞いても初めから否定してしまうようなことはありません。否定から入ると、そこで終わってしまい何も生まれませんからね。

社員から届いたメールには必ず返信を送ります。たとえ社内50人宛ての情報共有のメールであってもです。一人ひとりが様々な部署で、会社を支えてくれていることに感謝をしているからです。そして、一人ひとりが自分の仕事に自信を持って頑張ってほしいと思っています。

一方、違うと感じた時は、その人が大切だからこそ、そのことを丁寧に真剣に伝えるようにしています。有耶無耶は良くありません。