「自分を気にかけてくれる場所」があるから人は頑張れる

【湯浅】なぜそうまでして居場所を守らなければいけないか。そこがなかなか理解されないところなのですが、やっぱり人が頑張るためには、誰かが自分を見てくれている、自分を気にかけてくれる場所が必要だと思うんです。

湯浅誠『つながり続ける こども食堂』(中央公論新社)

『逃げるは恥だが役に立つ』の平匡さんは健康で両親もいるし、家もあって経済的に困窮しているわけじゃない。でも「プロの独身」を名乗って、自分は人から好かれるような人間ではないと思い込んでいる。だからみくりさんの好意に対しても、「僕が好かれるのは雇用主だからだ」と受け止めてしまう。これこそ「生きづらさ」ですよね。べつに失業していなくても、家族がいても、大人でも生きづらいんです。

多くの人が抱えている不安は、「誰かが自分を見てくれている居場所」が癒やしてくれるのではないでしょうか。そういう意味で僕はこども食堂を、無縁社会に対する処方箋だと思っているんです。

(構成=小泉なつみ)
関連記事
「子どもを3人育てるのは正直キツい」そんな国で少子化が進むのは当たり前だ
「男も女もデリヘルを必要としていた」被災地で性風俗取材を続けたライターの確信
「預けられる子が哀れと言われても」66年働き続けた86歳母が貫いた夢
未成年の家出少女が「子どもシェルター」を拒んで風俗店の面接を受けるワケ
「母は乳がん、父は自営+日雇い」崖っぷち大借金家庭の息子が"全落ち"から東大合格果たすまでの全軌跡